名フィル468定期 ウォン&ファン
2019年5月25日(土)4:00PM 愛知県芸術劇場コンサートホール

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名古屋フィルハーモニー交響楽団第468回定期演奏会
 <最後の傑作>

 2019年5月25日(土)4:00PM
 愛知県芸術劇場コンサートホール

 指 揮:カーチュン・ウォン
 ヴィオラ:ルオシャ・ファン(第4回東京国際ヴィオラコンクール第1位)*
 コンサートマスター:日比浩一

 バルトーク:ハンガリーの風景
 バルトーク:ヴィオラ協奏曲(シェルイ補筆版)
 シベリウス:交響曲第6番ニ短調 作品104
 シベリウス:交響曲第7番ハ長調 作品105

 ルオシャ・ファンさん(ヴィオラ)は中国出身らしい。
 16歳の時に、奨学金を得て、アメリカのバード大学、カーテイス音楽院、サンクトぺテルカレク音楽院で学び、2016年からソフィア王妃高等音楽院の今井信子氏に師事しヴィオラを本格的に学び始める。
 2018年、第4回東京国際ヴィオラコンクール第1位入賞。
 2019年秋からは、バード大学にて、ヴィオラとヴァイオリンの講師として後進の指導にあたることが決まっている。
 そういえば、2015年第3回東京国際ヴィオラコンクール第1位のアンドレア・ブルガーさんも今井信子さんのお弟子さんでしたね。

 バルトークのヴィオラ協奏曲はウィリアムズ・プリムローズによって委嘱されましたが、彼が1945年9月26日に64歳で死亡したため未完で終わりました。
 残された作品は、弟子のティボール・シェルイによって補筆、完成されました。
 
 曲は難解でよく分かりませんでしたが、ルオシャ・ファンさんは、全く優れたヴィオラ奏者でした。
 しかし、ヴィオラがメインの曲は限られているので、これからの演奏家生活をどう送っていくのか、そちらが惜しいと思いました。
 この人はヴァイオリニストとしても活動しているようなので、今度はそちらをきいてみたいものです。

 カーチュン・ウォンさんは1986年、シンガポール生まれ。
 7歳でトランペットを始め、ヨン・シュトウ音楽院(シンガポール)で作曲を、その後ハンス・アイスラー音楽大学(ベルリン)で指揮を学ぶ。
 クルト・マズアの愛弟子として大きな影響を受け、さらに、グスターボ・ドゥダメル、ベルナルト・ハイテインク、ハインツ・ホリガ一、エサ=ペッカ・サロネンといった錚々たる指揮者からも薫陶を受ける。
 2016年第5回グスタフ・マーラー国際指揮者コンクール優勝。
 ニュルンベルク交響楽団首席指揮者。

 僕は3月2日に、藤田真央さんのラフマニノフのピアノ協奏曲第3番をどうしても聴きたくて、「めぐろパーシモンホール」まで遠征したのですが、その時の指揮者がカーチュン・ウォンさん。
 メインは「展覧会の絵」でしたが、若々しく颯爽とした良い指揮者かと思いました。

 しかし、今回のメインのシベリウスは、僕にとってどこがよいのか分からない退屈な曲でした。
 僕はアイノラにシベリウスの家を訪ねたことがあるのですが、あの家でこんな曲を作曲していたのかと考えると、ちょっとガッカリしました。

 交響曲第7番(1924年)、付随音楽『テンペスト』(1926年)そして交響詩『タピオラ』(1926年)の完成を境に、シベリウスは1957年に91歳で死亡するまで、残りの30年間は大規模な作品を発表することがありませんでした。

 6番と7番はアタッカで演奏されました。
 どういう意味があるのか分かりませんでしたが、僕にとってはメロディーも分からないこの曲を、暗譜で演奏したウォンさんは立派なものだと思いました。

 ついでに、バルトークのブダペストの家はこちらです。