佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ  《ラ・ボエーム》
笛田博昭 砂川涼子 2022年7月16日(土)2:00PM
兵庫県立芸術文化センター

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 日本列島は大雨が続き、あちこちで洪水が起きています。
 そして第7次と言われるコロナの患者さんが激増しています。

 新幹線は怖いけれど、笛田博昭さんの舞台は見ておかないと。
 これが72回目の観劇となります。
 笛田さんが歌う日本人チームは全8公演の4回の舞台を務めます。
 外国人人チームはヨーロッパでオーディションがあったそうです。

 佐渡裕芸術監督プロデュースオペラ
 プッチーニ《ラ・ボエーム》
 2022年7月16日(土)2:00PM

 指揮:佐渡裕
 演出:ダンテ・フェレッティ

 ミミ:砂川涼子
 ロドルフォ:笛田博昭
 ムゼッタ:ソフィア・ムケドリシュヴィリ
 マルチェッロ:髙田智宏
 ショナール:町 英和
 コッリーネ:平野 和
 べノア/アルチンドーロ:片桐直樹
 パルピニョール:水口健次
 合唱ソリスト;植澤志音

 合唱:ひょうごプロデュースオペラ合唱団
 ひょうご「ラ・ボエーム」合唱団
 ひょうごプロデュースオペラ児童合唱団
 管弦楽:兵庫芸文化センター管弦楽団

 笛田さんの藤原歌劇団デビューは2007年1月27日(土)の《ラ・ボエーム》Aキャスト。
 そして翌日1月28日(日)のBキャストが砂川涼子さんでした。
 この時に笛田さんと砂川さんの声量の違いに驚いたものです。
 お二人は、2019年 62回NHKニューイヤーオペラコンサートでもミミとロドルフォを共演しておられます。

 演出のフェレッティは、パゾリーニ、ゼフィレッリらイタリアの偉大な映画監督の作品で美術デザインを手掛けて頭角を現し、これまでに米国アカデミー賞美術賞を3回受賞しているそうです。
 フェレッティは今回の「ラ・ボエーム」の舞台となる若者たちの住まいを、19世紀末のパリの屋根裏部屋から、1930年代のセーヌ川に浮かぶ船に移します。
 これは全く不必要な設定で、解説者が「屋根裏部屋」という言葉を使えずに困っていました。
 《外套》の世界でしょうか。

 カフェ・モミュスは大人数で立派でしたが、第3幕のフィナーレは4人のソリストがいなくなった舞台に老紳士が現れてたばこを吸うというもの。
 心が冷めてしまい、ゲッソリしました。

 もっと重要な場面はミミが自分の命の長くないことを知って泣きながら現れ、それに気付いたロドルフォが 「聞いていたのか!」と驚く場面。
 本日のミミは物陰から幽霊のように現れ、勝手にロドルフォが気付くというもの。
 この場面はカラヤン指揮のフレー二が大好きでした。

 本日の笛田さんは絶好調。  
 輝やかしい声が劇場を満たします。
 第1幕最後のハイトーンなど、砂川さんが息切れしてもれしても、笛田さんは長く伸ばしていました。
 
 砂川さんのミミは声量が小さいけれど、ミミの薄幸な雰囲気は出ていたのかなと思いました。

 ムゼッタのソフィア・ムケドリシュヴィリはジョージアの人で、コロナ休み中に出産されたそうです。
 「ムゼッタのワルツ」は少し線が細かったでしょうか。

 マルチェロを始めとする男性陣は強力でした。

 佐渡さんのオペラは2006年7月16日にこの劇場で《蝶々夫人》を見たことがあります。
 歌手を無視した勝手なテンポで 「この人はオペラに向かない」 と判断し、その後は佐渡さんのオペラは見ていません。

 今回が久しぶりの機会となりますが、良い出来だったと思いました。
 「オペラに慣れたなあ」という印象です。