藤原歌劇団 《ラ・ボエーム》 2007年1月27日(土)3:00PM Bunkamura オーチャードホール |
2003年に名芸大の《トゥーランドット》で笛田博昭さんのカラフに驚嘆して、「勝手に応援団」になってもう3年あまり。 「いつまで名古屋でウロウロしているんだ」ともどかしく思っていましたが、いよいよ藤原デビューです。 一生一度の機会をどうしても見に行かなくては。 しかし、渋谷は遠い。 名古屋発12時25分の「のぞみ」に乗らなくてはなりません。 上野だと12時47分の「のぞみ」でも間に合うんですけどね。 地方在住オペラファンの苦しみが分かっていただけるでしょうか (^_^ゞ? 「本山駅」から「名古屋(駅)」までは地下鉄で14分。 タクシーを待たせながらギリギリまで仕事をして、周囲の冷たい視線にもめげずに、オーチャードホールに向け飛び出しました (^_^; 。
藤原歌劇団 《ラ・ボエーム》 2007年1月27日(土)3:00PM Bunkamura オーチャードホール 指揮:園田隆一郎 演出:岩田達宗 ミミ:リ・ウンキョン ロドルフォ:笛田博昭 ムゼッタ:佐藤美枝子 マルチェッロ:谷 友博 ショナール:柴山昌宣 コッリーネ:田島達也 ベノア:折江忠道 アルチンドロ:柿沼伸美 パルピニョール:田代 誠 最初のロドルフォの声を聞いて、「今日は調子良さそうだな」と一安心。 絶不調だった「イタリア声楽コンコルソ」の悪夢から、なかなか逃れることが出来ません。 一つ一つのフレーズにはらはらして、たいへん疲れました (^_^ゞ。 無関係の僕でもこれほど疲れるのだから、笛田さんやリ・ウンキョンさんの緊張はどれほどのものだったでしょう。 ちなみに、この二人は新宿区民オペラ《トゥーランドット》のカラフとトゥーランドットですから、お互いに心強かったことでしょう。
彼が朗々と歌い上げると、その声が圧力となって劇場を満たし、最後列の僕でもゾクゾクしてしまいます。 そうそう、チラシの写真のように、いつもはもじゃもじゃ頭でひげ面の笛田さんが、舞台ではすがすがしい好青年になっていたのは、ちょっと笑えました (^_^; 。 笛田さんは26歳。 考えてみれば実年齢に近いロドルフォなんですね。 「冷たいこの手」を見事に歌いきって「これで安心」と思ったのですが、それからちょっと声が絡む部分もありました。 すると、また「イタリア声楽コンコルソ」の悪夢が‥‥ (^_^ゞ。 二幕以降は大丈夫でしたが、笛田さんとしても絶好調ではなかったのでしょう。 笛田さんはドラマティックテノールですから、新宿区民オペラ《トゥーランドット》の方が出来が良かったと思います。 しかし藤原デビューをこれだけのレベルでこなせれば文句はないでしょう。 第三幕のマルチェッロに問いつめられて「そうじゃないんだ!」と歌う激情的な場面では笛田さんの真骨頂を聞かせてくれました。 第四幕では、だいぶ演技もこなれてきたようでした。 他のキャストについては、男声陣は皆さん声量もあり、良いアンサンブルになっていたのではないでしょうか。 女声陣はちゃんと歌ってはいたものの、声量不足かと思いました。 岩田さんの演出は佐伯祐三(1898年(明治31年)4月28日〜1928年(昭和3年)8月16日)の描いたパリの絵の世界にボエームの物語を収めたもの。 これは大変うまくいっていたかと思います。 雪が降る第二幕最後のストップモーションは美しかった。 |