《RENT》 ザ・ブロードウェイ・ツアー
2009年8月9日(日)1:00PM 6:00PM 赤坂ACTシアター

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 2月にこの来日公演のことを知り、ネットで注文しました。
 その時になぜか年齢の記載を求められまして、正直に打ち込んで、僕は愕然としました。
 《RENT》には歳を取りすぎてる (^_^; 。

 女性ばかりの宝塚に行くのも恥ずかしいが、お若い方々ばかりの《RENT》に行くのも恥ずかしい。
 今回が我が人生最後の《RENT》と覚悟して、ACTシアターまで行ってきました。

 プログラムの最後にある『RENT CHRONOLOGY(年表)』が秀逸。

 1996年1月25日早朝 ジョナサン・ラーソン死亡。
 同 日   オフブロードウェイ・プレビュー開始
 4月 6日 ネダーランダー劇場 プレビュー公演開始
 4月29日 オン・ブロードウェイ公演開始

 僕は5月3日(金)にネダーランダー劇場で《RENT》を見たので、公演開始5日目に見たことになることを確認。
 日本人で初めて《RENT》を見た数十人のうちには入るでしょう (^_^) 。

 2008年9月7日、12年4ヶ月のロングラン、上演回数5124回という記録を残してBW公演が閉幕。
 ブロードウェイロングラン記録第8位。

 《RENT》 ザ・ブロードウェイ・ツアー
 2009年8月9日(日)1:00PM 6:00PM
 赤坂ACTシアター

 ロジャー・デイヴィス:アダム・パスカル
 マーク・コーエン:アンソニー・ラップ
 トム・コリンズ:マイケル・マックエルロイ
 ベンジャミン・コフィン・Ⅲ:ジャック・C・スミス
 ジョアン・ジェファーソン:ハニーファ・ウッド
 エンジェル・シュナート:ジャスティン・ジョンストン
 ミミ・マーキース:レクシー・ローソン
 モーリーン・ジョンソン:ニコレット・ハート
 ゴスペルシンガー:グウェン・スチュアート
 アレクシー・ダーリング:高良結香

 アダム・パスカルとアンソニー・ラップは、僕が《RENT》を初めて見た、1996年5月3日のオリジナルキャストです。
 二人とも若々しく、とてもあれから12年経っているとは思えません。
 ひょっとして僕も歳を取って見えないのでしょうか (^_^; ?

 今回の来日公演はどのキャストもレベルが高く、「これが本物の《RENT》だ」と、胸を張ってお薦めできる嬉しい公演となりました。

 なかでも感心したのはミミ役のレクシー・ローソン。
 死を定められた人間としての悲しさ、切実さをこれほど感じさせてくれたミミは初めてでした。
 「No Day but Today」の精神で、「どうしても今夜ロジャーとセックスしなくては」と迫る、その迫力には圧倒されました。

 しかし、ミミは自分がHIVポジティブだと知りながら、ロジャーに迫るとは危険な女ですね。
 たまたまロジャーもHIVポジティブだったから上手くマッチしたものの、ベニーは大丈夫なんでしょうか?
 そしてベニーと結婚したアリソンは?

 それから、エンジェル役のジャスティン・ジョンストンが素晴らしかった。
 歌や演技はもちろん、スティックをクルクル回す、鮮やかなスティック捌きには目を奪われました。
 ストリート・ドラマーなんだから、本来はこれくらい出来るのが当然なんでしょうね。
 
 モーリーンは日本の舞台でも生のお尻を見せてくれました。
 くるりと回って観客にもお尻を見せてくれるのは、日本公演のための嬉しいサービスでしょうか (^_^ゞ。
 《RENT》ライヴ・オン・ブロードウェイのDVDではここまでのサービスはありませんでしたから。

 「Moooooo~」の所は、観客の反応が早すぎて興醒め。
 《ジャパンRENT》の森川美穂さんの苦労を、懐かしく思い出してしまいます。

 字幕は映画版やDVDに較べるとまだましなんですが、それでもおかしなところがありました。
 最近、記憶力減退が甚だしいんですが‥‥思い出したところで (^_^; 。

 ロジャーがろうそくを吹き消したところで、「何をするの!」となるべきところが「どうして火を付けてくれないの?」では、頭がクラクラしてしまいます。
 今からでも手直しできるでしょう。

 『AZTブレイク』はそのままでいいんじゃないでしょうか。
 「ピピピ」とアラームが鳴って、「抗エイズ役を飲む時間だ」では流れが悪いではありませんか。
 『AZTブレイク』を知らずにこの公演に来ている人はいない、と勝手に信じたいんですが (^_^; 。
 舞台後ろのテーブルでは、エンジェル、コリンズと、高良さんも一緒にAZTを飲んでいました。

 『What You Own』のアレクシーへの電話は、「僕は映画を撮る」ではなく、「僕は僕自身のフィルムを完成させる」でなくてはなりません(絶対)。

 話は前後するんですが、『ラ・ヴィ・ボエーム』のロジャーのギターに対するマークの「that doesn't remind us of MUSETTA'S WALZ」という言葉は、「(下手すぎて)『ムゼッタのワルツ』には思えない(聞こえない)」とするのが正しいでしょう。

 『ムゼッタのワルツ』はプッチーニのオペラ《ラ・ボエーム》の第2幕にムゼッタ(モーリーンのモデル)によって歌われます。
 ロジャーが「(エイズで)死ぬ前に残したい一つの偉大な曲」にこの『ムゼッタのワルツ』を取り入れたがっていることは、一幕冒頭の停電前にエレキギターでこの曲を演奏していることからも明らかです。
 そしてフィナーレでミミが死んだあと『ミミ~!』と叫ぶロジャーのバックに、最強音で演奏される『ムゼッタのワルツ』を聴くことが出来るでしょう?

 プログラムの『STORY』で「ロジャーはドラッグに依存するミミを受け入れられず」と書かれているのは違う。
 こんな大事なことで、観客をミスリードしてはいけません。

 「ベニーに嫉妬して」という理由はマークのセリフにあるので、一つの正解かもしれません。
 しかし、考えているうちに「これはマークの勘違いなのかも知れない」と思うようになりました。

 ロジャーがミミから離れたい本当の理由は『Goodbye Love』の中で明かされます。
 彼はエイズのためにミミが弱って、そして死んでいくのを見ていることが出来ないんです。
 
 これは《RENT》の下敷きとなったプッチーニのオペラ《ラ・ボエーム》の第3幕の流れと同じなんです。
 だから、《ラ・ボエーム》を知っている人(ジョナサン・ラーソンも含め)には当然の流れなんです。

 他にも書きたいことはありますが、僕には時間がありません。
 お盆休みは北欧にシベリウスとグリーグを訪ねます。
 そして、8月23日には東京で《コーラスライン》来日公演です。

 忙しいでしょう (^_^; ?
 「No Day but Today」ですからね (^_^ゞ。

 7時56分ごろ、関東地方に震度4の地震がありました。
 舞台はモーリーンとジョアンヌの二重唱「Take Me or Leave Me」のクライマックスでしたが、揺れは長く続き、「いざとなったらどちらに逃げるか?」という緊張した瞬間になりました。
 来日メンバーと地震を共有できたのはいい思い出になるでしょう (^_^) 。

 僕は新幹線が心配だったんですが、運行に支障はありませんでした。
 それより台風9号で中国地方などに大きい被害が出てしまったようです。
 
 
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