飯田みち代 アルマ・マーラー全歌曲作品を聴く
悪女?!それともミューズ?! 2012年6月16日(土)6:30PM

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 下野竜也さん指揮する名フィル定期演奏会から宗次ホールに移動します。
 名フィル定期終了は6:10PM、宗次ホールの開演は6:30PMです。
 この演奏会は「名古屋マーラー音楽祭 特別企画」のためでしょうか、全自由席の客席は超満員。
 席を確保するのに苦労しました。

 悪女?!それともミューズ?!
 アルマ・マーラー全歌曲作品を聴く

◇第1部:レクチャー
 「アルマ・マーラーの生涯」 前島 良雄
 「マーラーとアルマ 愛と芸術の狭間で」 前島 真理

 第一部は前島良雄さんと前島真理さんのご夫婦による解説。
 真理さんは現在マーラーの『妻への全書簡(仮)』翻訳中だそうで、マーラーとアルマの知られざる関係などを書簡を基に話して頂きました。

 僕はゴールデンウィークにトブラッハの作曲小屋を訪れたばかりですから、タイムリーな話題でした。
 ついでにマーラーとアルマのお墓はグリンツィン墓地
 最後の夫ヴェルフェルのお墓はウィーン中央墓地
 ココシュカが描いた『嵐の花嫁』はバーゼル美術館

◇第2部:コンサート ~アルマ・マーラーの歌曲~

 ソプラノ:飯田みち代
 ピアノ :青木園恵

5つの歌曲(1910年出版)
 静かな町/父の庭で/心地よい夏の夜
      あなたのそばは安心/花の下を歩く
4つの歌曲(1915年出版)
 夜の光/森の幸福/あらし/収穫の歌
5つのうた(1924年出版)
 讃歌/エクスタシー/悟り/讃歌/夜への讃歌

 第二部は飯田みち代さんによるアルマ・マーラー作曲の歌曲全曲演奏。
 僕は1994年に名古屋二期会の《ねじの回転》を聴いて以来のファンですが、あれから18年ですか (^_^; 。

 ツェムリンスキーに作曲を学んでいたアルマが、マーラーとの結婚に際して作曲を禁じられた事はよく知られています。
 しかし、トブラッハにおけるアルマとワルター・グロピウスの不倫騒ぎに驚いたマーラーは、彼女の歌曲の出版に協力し、『交響曲第8番(千人の交響曲)』をアルマに献呈しました。

 一種のご機嫌取りかと思いますが、この作戦は上手く行ったようです。
 マーラーが自作を献呈したのはこの曲だけだそうです。

 そうそう、7月に名古屋マーラー音楽祭の一環として、『交響曲第8番(千人の交響曲)』(指揮:井上道義)が愛知県芸術劇場大ホールで演奏されます。
 なかなか聴けない演目なので、皆さまぜひお越し下さい。
 って、僕は関係者ではありませんけれどもね (^_^; 。

 アルマの歌曲は最初の方の曲はシューマンに似た曲かと思いました。
 後半の曲になるとピアノの音も厚くなって、ドラマチックな曲になってきました。
 ただこれらの曲が作曲順に出版されたのかどうかは分かりません。

 飯田さんの歌唱は強い部分は良いけれど、弱い部分では声が響きを失うような気がしました。
 一曲ごとに日本語で詩を読んでからの歌唱で、長い時間がかかりお疲れ様でした。
 第二部だけの出演なのに使用した衣装は3着 (@o@)。
 特に最後の金色に輝く衣装は、クリムトの絵画を思い出させました。

 飯田さんは11月に東京二期会公演でアリベルト・ライマン作曲の《メディア》(日本初演)を歌われます。
 大隅智佳子さんとのダブルキャスト。
 そして、指揮者は下野竜也さんなんですね (^_^) 。