藤原歌劇団公演 ヴェルディ作曲 《仮面舞踏会》
2013年2月11日(月・祝)3:00PM 東京文化会館大ホール

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 イタリア留学から戻られた笛田博昭さん、いよいよ藤原歌劇団本公演への出演です。
 《仮面舞踏会》とは珍しい演目ですが(藤原歌劇団では27年ぶり)、客席はよく埋まっていました。

 藤原歌劇団公演 ヴェルディ作曲《仮面舞踏会》
 2013年2月11日(月・祝)3:00PM
 東京文化会館大ホール

 指揮:柴田真郁(しばたまいく)
 演出:粟國 淳

 リッカルド:笛田博昭
 レナート:牧野正人
 アメーリア:廣田美穂
 ウルリカ:牧野 真由美
 オスカル:オクサーナ・ステパニュック
 シルヴァーノ:羽渕 浩樹
 サムエル:デニス・ビシュニャ
 トム:伊藤 貴之

 笛田博昭さんは最初は高い音が出にくそうで、あまり調子が良くなさそうでした。
 僕は2010年11月に目の前で笛田さんの声が壊れていくコンサートを聴いたことがあり、応援団としては心配な滑り出しでした。

 しかし徐々に調子を取り戻し、第二幕の二重唱の最後など大いに盛り上がりました。
 第三幕も立派な歌唱を続け、アリアでは盛大な拍手を受けたのに、最後から2番目の音で声がひっくり返ってしまったのは無念でした。
 あと数秒でフィニッシュだったのに。

 次に笛田博昭さんを聴くのは2月22日(水)の「オペラの魅力」@電気文化会館ですが、2010年11月の時は《トスカ》を降板されたこともあり、大丈夫でしょうか?

 アメーリアの廣田美穂さんは第二幕以降が良い出来かと思いました。
 レナートの牧野正人さんはさすがの歌唱でした。
 名古屋で大活躍のバス伊藤貴之さんは今回が藤原デビューで、立派に歌い上げられおめでとうございました。

 粟國 淳さんの演出は(僕には)当たり外れがあるのですが、今回は抽象的な舞台装置に巧く照明を使って、無駄な動きも無く、気に入りました。
 粟国演出で7・8月に予定されている東京二期会《ホフマン物語》は、2010年9月に「あいちトリエンナーレ」で上演された舞台で、これはスケールの大きい舞台でお薦めです。

 指揮者の柴田真郁さんは1978年東京生まれ。
 初めて聴きましたが、ソリスト、合唱など、全体的に充実した公演だったと思います。

 ヴェルディのオペラは荒唐無稽なストーリーばかりですが、アメーリアがリッカルドを忘れるために深夜の墓場に草を摘みに来るとか、バカバカしくて付いていけません。
 リッカルドも墓場で逢い引きをしただけで殺されてしまうわけで、あまりにも理不尽な仕打ちかと思いました。

 このオペラは1959年2月17日にローマのアポロ劇場で初演されたそうで、聖天使城の対岸にあったアポロ劇場の石碑を思い出しました。
 この石碑のことは福原信夫先生の「ヨーロッパ音楽旅行案内」で知りましたが、本日のプログラムに福原先生の「真説・グスターフ三世暗殺事件」という記事があって、まだ生きておられたのかと驚きました。
 しかし最後まで読んでみると、これは1986年の公演のために書かれた記事でした。