びわ湖ホール プロデュースオペラ 《ワルキューレ》
2013年9月22日(日)2:00PM びわ湖ホール
指揮:沼尻竜典 演出:ジョエル・ローウェルス

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 ジョエル・ローウェルスといえば、2008年2月に上演された東京二期会《ワルキューレ》の演出家でしょう?
 ベッドシーンで、フンディングがズボンどころか靴も脱がずにジークリンデに乗っかってしまったという。
 あの演出なら見る必要は無いと思っていたら、今回は新演出だそうで。

 東京二期会の《パルジファル》でクンドリーを歌った橋爪ゆかさんのジークリンデを一度聴いてみたい。
 ブリュンヒルデ役のエヴァ・ヨハンソンは2000年5月6日にヘッセン州立劇場で《さまよえるオランダ人》を見てから、勝手に親近感を感じています。
 ということで、演出には目をつぶることにして、びわ湖ホールに出かけました。
 びわ湖ホールには多くの観客が入り、ロビーも華やいだ雰囲気でした。

 びわ湖ホール プロデュースオペラ 《ワルキューレ》
 2013年9月22日(日)2:00PM びわ湖ホール

 指揮:沼尻竜典
 演出:ジョエル・ローウェルス

 ジークムント:望月哲也
 フンディング:山下浩司
 ウォータン:グリア・グリムズレイ
 ジークリンデ:橋爪ゆか
 ブリュンヒルデ:エヴァ・ヨハンソン
 フリッカ:加納悦子
 ゲルヒルデ:岩川亮子
 オルトリンデ:増田のり子
 ワルトラウテ:磯地美樹
 シュヴェルトライテ:三輪陽子
 ヘルムヴィーゲ:日比野 幸
 ジークルーネ:森 季子、
 グリムゲルデ:小林久美子
 ロスワイゼ:渡辺玲美
 日本センチュリー交響楽団&神奈川フィルハーモニー管弦楽団合同オーケストラ
 コンサートマスター:後藤龍伸

 一週間前に神奈川で公演が行われ、いろいろな情報をネットで得ることが出来ます。
 本来登場するはずも無い人物が多数出てくる、舞台転換が煩雑、などなど。

 ジークムントとジークリンデの二重唱にフリッカが出てきてウロウロしているんですが、そういう予備知識があるためか、あまり気にはなりませんでした。
 煩雑な舞台転換も、見たくないものは見なければ良い、分からないものは記憶から飛ばしてしまえば良いんですから。

 橋爪ゆかさんのジークリンデは期待どおりだったし、他のキャストのレベルも高かったと思います。
 特にビックリしたのがウォータンのグリア・グリムズレイ。
 実に立派な声で最後まで歌い上げました。


 ここまでは許容範囲だったのですが‥‥。
 フィナーレの『ヴォータンの別れ』のクライマックス、普通ならヴォータンとブリュンヒルデががっしりと抱き合う場面で、舞台の照明が消えてしまいました (@o@)。
 「クライマックスで観客の期待を外して、ガッカリさせてやろう」というローウェルス(と沼尻さん?)の悪意が見え透いて、大変にむかついた気持ちでいるうちに、ワーグナーが書いた最高の音楽が過ぎて行ってしまったわけです。

 『魔の炎の音楽』になって舞台は燃え上がるんですが、また舞台転換があって部屋の中になってしまいます。
 部屋の中には何人かの人がいるんですが、暗くてよく見えない。
 ここがどこなのか、何をしているのかも分からないうちに《ワルキューレ》は終わってしまいました。

 率直に言ってオペラが演出家の遊び道具になっており、せっかくの音楽をぶち壊している。
 観劇後にこれほど不愉快な気持で帰るのは久しぶりです。
 これが賛否両論の話題となって、東京二期会からの仕事が増えるのなら、ローウェルスとしては作戦成功ですね。
 もし演奏会形式なら、入場料はいくらになったのでしょう?

 沼尻さんの指揮は頑張っているなと好意的に見ていたのですが、『ヴォータンの別れ~魔の炎の音楽』でどこかに飛んで行ってしまいました。
 
 おまけに、ワーグナーが《ワルキューレ》を作曲したエッシャーハウスはこちらです。