名古屋フィル第428回定期演奏会 2015年10月10日(土)4:00PM
愛知県芸術劇場 コンサートホール
クリスティアン・アルミンク & アリーナ・イブラギモヴァ

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 名フィル定期本年度のシリーズで、最も期待していたコンサートの一つでした。

 名古屋フィルハーモニー交響楽団第428回定期演奏会
 2015年10月10日(土)4:00PM
 愛知県芸術劇場 コンサートホール
 <バッハを温ねて新しきを知る>

 指揮:クリスティアン・アルミンク
 ヴァイオリン:アリーナ・イブラギモヴァ

 ルクー: 弦楽のためのアダージョ 作品3
 ベルク: ヴァイオリン協奏曲『ある天使の想い出に』
 ブラームス: 交響曲第4番ホ短調 作品98

 イブラギモヴァは、2011年11月19日の名古屋フィル第385回定期演奏会で演奏された、ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲の集中力に驚嘆したヴァイオリニスト。
 その時以来の共演で、曲がアルバン・ベルクのヴァイオリン協奏曲という、ショスタコーヴィッチのように難解な曲なので、大いに楽しみにしておりました。

 彼女の演奏は、少しオケに埋もれる部分もあったかと思いますが、相変わらずの集中力の高さに惹き付けられます。
 アルミンクも名フィルもレベルの高い演奏をしたと思います。
 問題はベルクの十二音音楽で書かれたこの曲自体が、僕にはまったく理解が出来ないことでしたね (^_^ゞ。
 ソロアンコールはありませんでした。

 アルミンクは、2007年3月24日の《ローエングリン》2011年7月18日の《トリスタンとイゾルデ》など東京まで聴きに行きました。
 ブラームスなら、2011年9月4日可児市文化創造センターで行われた『ブラームスはお好き?』
 僕の大好きなピアノ協奏曲第1番と交響曲第3番の組み合わせということで、燃え上がったコンサートでした。

 ブラームス1884年と85年の夏にシュタイヤーマルク州のミュルツツーシュラークで交響曲第4番を作曲しました。
 84年に第1,2楽章、85年に第3,第4楽章。

 僕はアマオケでブラ4を演奏したことがあるのですが、84年に作曲された第1,2楽章と、85年に作曲した第3,第4楽章では、かなり音楽的なレベルの違いを感じます。
 第1,2楽章は実に自然な流れの音楽なのですが、85年に作曲した第3,第4楽章の頃にはブラームスの音楽の泉が枯れてしまっている。
 そこを力尽くで作曲を進め、第3楽章は中身の無いどんちゃん騒ぎ、第4楽章は変奏曲という形式に逃げ込んだのだと僕は考えています。
 当時の音楽批評やブラームスの友人達の間でも、「想像力の貧困」などという意見が多かったようです。

 そのような第3,第4楽章ですが、アルミンクの指揮で聞いているとそれなりに立派な音楽に聞こえてこるのが不思議でした。
 アルミンクは良い指揮者だと思いますし、何度も聴かせていただきたい指揮者です。
 アンコールはありませんでした。

 僕はアマオケのセカンドヴァイオリン奏者だったのですが、ブラームスの交響曲ではファーストと一緒に弾くか、ヴィオラと一緒に弾くかでで、セカンドの聴かせどころが無い。
 4曲の交響曲を合わせても、皆さまに一瞬でもセカンドヴァイオリンが聞こえる部分は5カ所もないと思います。
 それに反して、ヴィオラには聴かせどころが多く、本日も第2楽章のパートソロが、つくづく羨ましかったことです。