大阪音楽大学創立100周年記念オペラ ヴェルディ:《ファルスタッフ》
2015年11月1日(日)2:00PM ザ・カレッジ・オペラハウス
 
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 皆さまもオペラやコンサートで、椅子から落っこちそうになる程の驚きを体験されたことがあるでしょう。
 僕にとっては2007年10月6日に見た関西歌劇団《道化師》、田中勉さんの「プロローグ」がその一つでした。
 「この人は日本で突出したバリトンだ」と確信し、それからは出来るだけ田中さんの舞台を見過ごさないように気をつけていますが、名古屋にいると関西のオペラ情報がなかなか入ってこないんですね。

 今回は《ファルスタッフ》とのこと。
 好きでは無いオペラですが、歌舞伎で言う「一世一代」でしょうか。
 慌ててチケットを手配しました。
 チケットを確保して、他のメンバーを見てみると、関西オペラ界の第一人者がずらりと並び、何と贅沢な舞台かと、ますます嬉しくなってしまいました。

 大阪音楽大学創立100周年記念オペラ
 G.ヴェルディ:《ファルスタッフ》
 2015年11月1日(日)2:00PM
 ザ・カレッジ・オペラハウス

 指揮:下野 竜也 演出:岩田 達宗
 ファルスタッフ:田中 勉
 フォード:晴 雅彦
 アリーチェ:松田 昌恵
 ナンネッタ:石橋 栄実
 フェントン:清水 徹太郎
 クイックリー:荒田 祐子
 メ グ:並河 寿美
 カイウス:清原 邦仁
 バルドルフォ:小林 俊
 ピストーラ:松森 治

 合 唱:ザ・カレッジ・オペラハウス合唱団
 管弦楽:ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団

 ということで、素晴らしい舞台を見せていただいたのですが、これだけのメンバーが揃っても、(僕にとって)このオペラは面白くない、ということを再確認してしまいました (^_^ゞ。

 下野竜也さん指揮するオーケストラや田中勉さんを始めとするキャストの皆さまには、日本で最高レベルの《ファルスタッフ》を聴かせていただきました。
 
 岩田さんの演出は舞台をまとめたもので、プロの仕事でしょうか。
 字幕にクスグリがありましたが、度を越えた、不快と思えた部分もありました。
 2005年10月1日、2日に見たひろしまオペラルネッサンス《ジャンニ・スキッキ》の字幕は面白かったのですが、《ファルスタッフ》とは作品の質が違うでしょう。

 《ファルスタッフ》といえば忘れられないのは1997年4月14日にケルン歌劇場で見た、ロバート・カーセンの機知に溢れた演出で、観客は最初から最後まで、大拍手と大笑い。
 このオペラを初めて見た僕だってあれだけ笑えたオペラが、岩田さんの演出では笑えないわけで、これは問題でしょう。
 笑えない「喜劇」、そこを字幕で何とかしようとしてもね。

 素晴らしい経験をしてしまうと、他の演出では不満を感じてしまうというのは、重大な副作用ですね。
 このカーセンの演出はスカラ座の来日公演やMETライブビューイングも(多分)同じで 、同じプロダクションを使い回しをしているような気がします。

 検索していたら、僕は岩田さんの《ファルスタッフ》を2008年9月21日に、愛知県芸術劇場大ホールで見ていたようです。
 すっかり忘れていました (^_^; 。