ヴェルディ作曲 《リゴレット》 〈藤原歌劇団名古屋公演〉
2020年2月8日(土)2:00PM 愛知県芸術劇場 大ホール

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 ヴェルディ作曲 《リゴレット》 〈字幕付原語上演〉
 2020年2月8日(土)2:00PM
 愛知県芸術劇場 大ホール

 総監督:折江忠道
 演出:松本重孝
 指 揮:柴田真郁

 リゴレット:須藤慎吾
 マントヴァ公爵:笛田博昭
 ジルダ:佐藤美枝子
 スパラフチーレ:伊藤貴之
 マッダレーナ:鳥木弥生

 管弦楽:セントラル愛知交響楽団
 合 唱:藤原歌劇団合唱部

 ヴェルディのオペラは苦手ですが、中でも嫌いなのが《リゴレット》。
 醜いリゴレットに美しい娘がいて家に隠していたとは、いくら何でも無理があるでしょう。

 このジルダが鬱陶しい。
 諸般の事情があるとはいえ、好きな学生(公爵)と結ばれながら「私は辱められました」とは、冗談もいい加減にしてくれ、という感じ。
 最後もなかなか死なないし。

 舞台は抽象的な舞台ですが、藤原歌劇団の本公演としてはお粗末なもの。
 とても公爵の館には見えません。
 須藤慎吾さんは熱演ですが、道化師なのに、もっぱら暗い。
 演出は信頼する松本さんですが、今回は上手く行っていない印象です。

 佐藤美枝子さんは、1999年4月4日名古屋国際音楽祭オープニング・ガラ・コンサート/ディーヴァの夕べで聴いたのですが、チャイコフスキーコンクール優勝というのに声量の無さに驚きました。
 本日も公爵との二重唱で、特に交互に歌う部分では、ジルダのパートがエアポケットになっているように聞こえたりしました。

 お目当ての笛田さんは痰が絡んだような部分があり、シエナ大賞を逃した2006年7月2日イタリア声楽コンコルソや、2010年11月18日(宗次ホール)の途中で中止になってしまったリサイタルなどを思い出し、心配しましたが、力強い歌声で乗り切りました。
 「女心の歌」もヴァリアンテを付けて、最後の(ハイH)を決めてくれました。
 ただ、笛田さんは立派すぎて、とても浮気者には見えません。
 この役は笛田さんの役ではないでしょう。

 2006年7月2日、僕は笛田博昭さんが優勝されるはずのイタリア声楽コンコルソを見に、すみだトリフォニーホールに出かけました。
 しかし、この日の笛田さんは絶不調で、声を張り上げると声が割れてしまい、実力を発揮することが出来ず、大変残念な結果でした。

 この時にシエナ大賞を獲得されたのが須藤慎吾さんでした。
 このHPにレポートを書かせていただいたところ、驚いたことに須藤さん御自身からメールを頂き、恐縮してしまいました。
 メールでは、自分はイタリアから帰国したところで、これから日本でのポジションを探さなければいけない、と書いておられました。

 そして今、笛田さんも須藤さんも藤原歌劇団の中心メンバーとなられ、共演の機会も多く、僕はあのイタリア声楽コンコルソを懐かしく思い出すわけです。
 
 長く名古屋で活動しておられた相羽 薫さんが、チェプラーノ伯爵夫人として、藤原歌劇団デビューをされました。
 舞台のどこで何をしていたか全く分かりませんでしたが、これは作品と演出に問題があるのでしょう。

 2007年5月5日、僕はリゴレットの家を訪ねてマントヴァを訪れました。
 ジルダが辱めを受けた公爵の館のモデルと思われるドゥカーレ宮殿に入ってみましたが、巨大すぎて部屋は分かりませんでした。
 リゴレットの家は観光案内所になっており、庭にリゴレット像が立っていました。