夜鳴きうぐいす/イオランタ 大隅智佳子 2021年4月4日(日)2:00PM 新国立劇場 |
あれは2007年1月27日(土)、僕は笛田博昭さんの藤原歌劇団デビュー《ラ・ボエーム》を観劇するためBunkamura オーチャードホールに出かけたのでした。 そしてせっかくの遠征なので、翌1月28日(日)3:00PMから、《ラ・ボエーム》の別キャストを聴いたのでした。 この日は4:00PMからシャルパンティエ作曲 オペラ 《ルイーズ》という珍しい公演(東京オペラ・プロデュース)もあり、僕は《ラ・ボエーム》は第1幕だけ聴いて、オーチャードホールから新国立劇場中劇場にタクシーで向かったのでした。 この時のルイーズ役が初めて聴く大隅智佳子さんで、僕はその豊かな美声に痺れ上がってしまいました。 それ以来 「ソプラノは大隅智佳子、テノールは笛田博昭」 と言っているわけです。 1日目の《ラ・ボエーム》は笛田博昭さんの藤原デビュー、2日日の《ルイーズ》は大隅智佳子さんのオペラデビューという、僕にとっては凄い2日となりました。 その後はこの2人の追っ掛けをしていたのですが、笛田さんは名古屋が本拠地でしたが、大隅さんは東京、足利と遠距離で、だんだん聴く機会が少なくなっていました。 しかし今回は代役とはいえ大隅さんを新国立劇場で聴く機会が巡ってきたのです。 新型コロナ第4波を心配しながら、新国立劇場に向かいました。 今回の公演は童話を原作とした、見たことも聞いたこともないロシアのオペラ2作品という珍しいプログラム。 広報によれば「『夜鳴きうぐいす/イオランタ』に出演を予定していた招聘指揮者、キャストにつきましては、新型コロナウイルスの感染症に係る入国制限措置により、充分な公演準備をしての出演が不可能となりました。これにより、指揮者、出演者を以下のとおり変更して上演いたします」とのことです。 ![]() 【指 揮】高関 健 ← アンドリー・ユルケヴィチ 【演 出】ヤニス・コッコス 【合 唱】新国立劇場合唱団 【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団 ストラヴィンスキー《夜鳴きうぐいす》 【夜鳴きうぐいす】三宅理恵 ← ハスミック・トロシャン 【料理人】針生美智子 【漁師】伊藤達人 【中国の皇帝】吉川健一 ← ニカラズ・ラグヴィラーヴァ 【侍従】ヴィタリ・ユシュマノフ 【僧侶】志村文彦 【死神】山下牧子 【三人の日本の使者たち】高橋正尚/濱松孝行/青地英幸 アンデルセンの童話『ナイチンゲール』をオペラ化したものだそうですが、《夜鳴きうぐいす》は僕にとって全くの現代音楽でした。 音楽だけでなくストーリーも分かりません。 三宅理恵さんを始めとするキャストは、よくこんな難しい音が取れるものだと感心しました 。 高関 健さん指揮する東京フィルハーモニー交響楽団も、難曲を好演したと思います。 チャイコフスキー《イオランタ》 【ルネ王】妻屋秀和 プロヴァンス王:イオランタの父。 【ロベルト】井上大聞 ← ユーリ・ユルチュク ブルゴーニュ公爵:イオランタの婚約者。 【ヴォデモン伯爵】内山信吾 ← ヴィクトル・アンティペンコ ブルゴーニュの騎士(伯爵):ロベルトの友人。 【エブン=ハキア】ヴィタリ・ユシュマノフ ← ニカラズ・ラグヴィラーヴァ ムーア人の名医 【アルメリック】村上公太 ルネ王の新任の従者 【ベルトラン】大塚博章 門番 マルタの夫 【イオランタ】 大隅智佳子 ← エカテリーナ・シウリーナ ルネ王の娘:生来盲目の王女。 【マルタ】山下牧子 イオランタの乳母 ベルトランの妻 【ブリギッタ】日比野幸 イオランタの友人 【ラウラ】富岡明子 イオランタの友人 《イオランタ》はチャイコフスキー最晩年の作品で、彼が作曲した10曲のオペラの最後の作品になるそうです。 ということはクリンで作曲されたわけで、クリンで見たチャイコフスキーの家が思い出されます。 速く『ロシア紀行』を書き上げなくては。 プロヴァンスのルネ王の娘イオランタは生まれつき盲目であったが周りのものはそのことを隠し、イオランタは自分が盲目であることに気付いていなかった。 彼女は名医エブン=ハキアの診察を受け、「自分が治りたい」と願うことにより目が見えるようになる。 お話にならない、馬鹿馬鹿しいストーリーです。 曲はチャイコフスキーらしい職人的なもの。 すべての人物に曲が割り当てられています。 ヴォデモン伯爵との二重唱を聴いていて、イオランタの最後の豊かで張りのある音に、僕は突然「ビビッ」ときました。 この「ビビッ」感こそオペラを聴く醍醐味で、僕が彼女に望んでいたものなのです。 カーテンコールで妻屋さんへの拍手も多かったけれども、大隅さんへの拍手は圧倒的なものでした。 カーテンコールでは大きなテレビが持ち出されまして、コロナのために来日できなかったスタッフが映し出されました。 あれはリアルタイムだったのでしょうか? |