B.ブリテン作曲 《ピーター・グライムズ》
2013年10月14日(月・祝)2:00PM ザ・カレッジ・オペラハウス

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 僕はブリテンブリテンのオペラの有名どころはほぼ見ています。
 これは1995年のロンドン旅行が「ブリテン没後50周年」に当たり、《ビリー・バッド》《真夏の夜の夢》(ロバート・カーセン演出)を見ることが出来たことが大きい。
 そしてもう一つは、一時の名古屋二期会が外山雄三、栗山昌義、両氏の主導の下、ブリテンのオペラシリーズをしていたこと。

 名古屋二期会の《ピーター・グライムズ》は1992年11月に「愛知県芸術劇場開館記念公演」として上演されました。
 舞台奥から多数の村人を載せた巨大な舞台が回りながら出てきたときには、「すごい劇場が出来たものだ」と驚いたものです。
 しかし制作費がかかりすぎて、名古屋二期会は一時活動を休止することになってしまいました。
 出演:林誠 山本みよ子 田中勉 東川恭子 奥田洋子 愛知県立芸術大学管弦楽団

 その時以来の《ピーター・グライムズ》観劇です。
 2008年3月のMETライブビューイングは見ています。

 B.ブリテン作曲《ピーター・グライムズ》
 2013年10月14日(月・祝)2:00PM
 大阪音大 ザ・カレッジ・オペラハウス

 指揮:高関 健
 演出:中村敬一

 ピーター・グライムズ:小餅谷哲男
 エレン・オーフォード:平野雅世
 バルストロード船長:枡 貴志
 アーンティ:西原綾子
 姪 1:大崎友美
 姪 2:喜多ゆり
 セドリー夫人:野間直子

 管弦楽:ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団
 合 唱:ザ・カレッジ・オペラハウス合唱団、大阪音大学生選抜メンバー

 漁師ピーター・グライムズは、時化で漂流する船の中で手伝いの少年を衰弱死させてしまい、次に雇った少年は焦って足を滑らせて死んでしまう。
 ピーターはその責任を問われ、船を沈ませて自死を迫られるというストーリー。
 不慮の事故を2回起こしただけで死ななければならないのは、納得できませんでしたね。

 高関健さんはカレッジ・オペラハウスに初登場だそうですが、かっちりとした指揮はこの曲に合っていると思いました。
 技術的にかなり難しい曲なのだろうと推察されましたが、ソリスト、オーケストラ、コーラス、皆さま実に立派な演奏だったと思います。
 カレッジ・オペラ・ハウスは座席数756席という中くらいの大きさのオペラハウスですが、舞台を埋めたコーラスの迫力には圧倒されました。

 中村敬一さんの演出はそれほど広くはないステージ上に並んだ大人数の出演者を巧く動かして、分かりやすい舞台を作っていました。
 抽象的な舞台装置が酒場の中になったり外になったり、さすがプロの仕事だと思いました。

 キャストの皆さまは熱演でしたが、中でもエレン役の平野雅世さんが気に入りました。
 このHPを検索してみると、2011年5月の《つばめ》とか2012年11月の《コジ・ファン・トゥッテ》を見ているようです。

 プログラムの理事長挨拶によれば今年はブリテン生誕100年ですが、ブリテンのオペラを上演するのはこの《ピーター・グライムズ》だけだそうです。
 このような難しいオペラの上演に取り組まれた、カレッジ・オペラ関係者のご努力に深く感謝したいと思います。