藤原歌劇団公演 《トスカ》 2016年1月31日(日)2:00PM 東京文化会館 大ホール |
最近は箱根の山を越えるのが大儀になって、あまり東京に行く気がしません。 しかし、笛田博昭さんの追っかけをしている僕にとって、藤原歌劇団の本公演には行くべきでしょうか? 笛田さんのカヴァラドッシは2014年12月14日(日)に 沼津市民オペラ 《トスカ》で聴いているんです。 悩みましたが、結局、行くことになってしまいました。 追っかけは辛い(^_^ゞ。 これが「笛田博昭観劇記録」52番目のレポートになります。 ![]() 藤原歌劇団公演《トスカ》 2016年1月31日(日)2:00PM 東京文化会館 大ホール 指揮:柴田真郁 演出:馬場紀雄 トスカ:佐藤康子 カヴァラドッシ:笛田博昭 スカルピア:須藤慎吾 アンジェロッティ:久保田真澄 堂守:安東玄人 スポレッタ:澤﨑一了 シャルローネ:田中大揮 看守:坂本伸司 牧童:時田早弥香 管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 合唱:藤原歌劇団合唱部 児童合唱:多摩ファミリーシンガーズ 笛田さんの《トスカ》といえば、声が割れてしまった2006年7月2日の第37回イタリア声楽コンコルソ(この時の優勝者が須藤慎吾さん)、そしてまったく声が出なくなって降板した2010年11月24日の熱田文化小劇場の公演など、辛い思い出が多い。 本日の公演も心配でしたが、「妙なる調和」から好調で,安心して輝かしいテノールを堪能しました。 トスカ役の佐藤康子さんは初めて聴きましたが、さすがイタリアで活躍しておられるソプラノかと思いました。 須藤慎吾さんのスカルピアはこの役としては若くて、声が綺麗すぎたでしょうか。 ゴッビが僕のデフォルトですから。 柴田真郁さんの指揮は落ち着いた音楽を目指したものでしょうか? クライマックスの高揚感に欠けるような気がしました。 今回の《トスカ》は10年ぶりの新演出だそうです。 馬場紀雄さんは大隅智佳子さんがタイトルロールを歌った2010年3月27日の《修道女アンジェリカ》の演出家で、あれは酷かった。 今回も期待しておりませんでしたが、レベルの低い演出となってしまった(と感じました)のは残念でした。 プロジェクションマッピングを使った沼津市民オペラ 《トスカ》の方がスケールのある美しい舞台で、藤原歌劇団の本公演としては、アマチュア以下の演出では不味いと(僕は)思いました。 舞台装置は小さい舞台を半円形型の階段が囲んでいる。 この円形階段が大した意味もなく、不要なものと思われました。 僕は2009年1月に《トスカ》の舞台を現地に訪ねたことがあるものですから、余計に違和感を感じるのかも知れません。 また、人の出入りや絡みが上手く行っていない、演出家としてのテクニックが不足していると感じられました。 第3幕のフィナーレ、兵隊に追われたトスカはゆっくりと階段を上ります。 そして、階段の途中で黒い布切れを拾って、床に横たわるカヴァラドッシの遺体に投げかけるのですが、これが外れ。 失笑しました。 トスカの見所といえば、フィナーレでトスカが城壁から身を投げるところでしょう。 多くの演出家がこの場面を如何に盛り上げるかについてアイディアを絞ってきたわけです。 ところが今回はトスカが階段を上っている途中で舞台は暗転してしまいました。 馬場さんは演出家として勝負すべきところを、逃げてしまったのです。 そして、一生懸命、トスカに布切れの投げ方を練習させたのでしょう。 せっかくの藤原歌劇団演出デビューなのに‥‥。 僕は藤原歌劇団の《蝶々夫人》は文化遺産として残すべき素晴らしい舞台だと思っています。 《トスカ》の次回公演では、そのような舞台を望みたいものです。 |