名古屋二期会2015年ニューイヤーオペラコンサート
2015年1月12日(月・祝)4:30PM 名古屋市民会館大ホール

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 2015年名古屋二期会創立45周年記念
 ニューイヤーNo.28 オペラコンサート
 2015年1月12日(月・祝)4:30PM
 名古屋市民会館大ホール

 指 揮:角田鋼亮(つのだこうすけ)
 管弦楽:名古屋二期会オペラ管弦楽団

 毎年楽しみにしている名古屋二期会ニューイヤーコンサートに行ってきました。
 例年は飯守泰次郎、佐藤正浩という素晴らしい指揮者に恵まれてきたこのコンサートですが、今回の指揮者は地元出身若手のホープ角田鋼亮さんです。

 角田鋼亮さんは1980年、名古屋市中川区生まれ。
 名古屋地区私学の雄である東海高校に学び、1998年に東海学園オーケストラで自作のピアノ協奏曲を演奏したときは、名古屋のマスコミで大きく取り上げられたものです。
 1999年、東京藝術大学音楽学部指揮科に入学し、指揮法を松尾葉子、佐藤功太郎、ピアノを佐藤俊各氏に師事。
  2005年4月から渡独し、9月からはベルリン音楽大学 “ハンス・アイスラー”にて学ぶ。
 各地のコンクールで入賞歴多数。
 セントラル愛知交響楽団指揮者、武蔵野学園音楽大学非常勤講師、名古屋市立菊里高校音楽科非常勤講師を務めている。

 角田さんの指揮はキビキビしたもので、オーケストラはよくまとまっていると思いましたが、ゆとりとかタメに乏しい印象を持ちました。
 特にオペラの伴奏については、経験を積まれることが必要なのではないでしょうか。

《第一部》
 1)山田光子 ヨハン・シュトラウス《こうもり》より「失礼な冗談ね」
 2)高木浩子 ドヴォルザーク《ルサルカ》より「白銀の月」
 3)津田文子 ドニゼッティ《リタ》より「この清潔で愛らしい宿よ」
 4)前嶋郁子 ヴェルディ《仮面舞踏会》より「私の最後の願い」
 5)濱野 織 ロッシーニ《セミラーミデ》より「麗しい光が」
 6)崔 利先 プッチーニ《トスカ》より「歌に生き愛に生き」
 7)山口満希子 ベッリーニ《清教徒》より「私は愛らしい乙女」
 8)鈴木裕子 べッリーニ《清教徒》より「やさしい声がわたしをよんでいた」 
 9)奥村晃平 レオンカヴァルロ《道化師》より「ごめん下され」
10)河村典子 ワーグナー《パルジフアル》より「なんてひどい人!(クンドリ)」
11)水谷和樹 ワーグナー《ニュルンベルクのマイスタージンガー》より「にわとこのやさしく強くかおり」
12)基村昌代 ワーグナー《トリスタンとイゾルデ》より「愛の死」

 基村昌代さんの「愛の死」に圧倒されました。
 彼女は2006年のこのコンサートで、飯守泰次郎さんの指揮で「愛の死」を歌いました。
 これは僕にとって奇跡的な名演で、名フィル《ワルキューレ》関西二期会《パルジファル》東京シティ《神々の黄昏》と並び、「飯守先生4大ワーグナー体験」と言っているわけです。

 ところが、2013年12月18日(水)の名古屋音楽大学オーケストラ定期演奏会(指揮:後藤龍伸)で「愛の死」を歌っていた基村さんは途中で気を失い、愛知県芸術劇場コンサートホールのステージから客席に転落してしまい、顔面強打、前歯を折るという、一つ間違えば生命も危ないような経験をされたわけです。

 今回はそのリベンジで、自分から希望してこの曲を歌われたそうです。
 基村さんはブログに、「歌っている最中に、2回震えがきて、この舞台から逃げたいという精神状態になり、本当に本当に怖かったです」と書いておられますが、最初の弱音から豊かな響きで、見事に全曲を歌い切られました。
 オーケストラについては、角田さんが飯守先生の境地に達するには、やはり数十年の時間が必要なのかと思いました。

 河村典子さんのクンドリーも、訳の分からない曲を説得力を持って聴かせていただきました。
 河村さんは荒川バイロイトの《トリスタンとイゾルデ》名古屋二期会ニューイヤーコンサート《カルメン》名古屋二期会の《こうもり》を聴いたことがありますが、準・メルクル氏に認められ、ドイツ留学予定だそうです。

《第二部》 《蝶々夫人》ハイライト
 『愛の二重唱』:与儀 巧(賛助),久保田道子
 『ある晴れた日に』:渡部純子
 『花の二重唱』:浅井恵子,宇野啓子
 『かわいいぼうや』:森本ふみ子

 与儀 巧さんは東京二期会の《イドメネオ》を拝見しましたが、本日のピンカートンは素晴らしい出来かと思いました。

 渡部純子さんは2010年のこのコンサートで初めて聴いて感心し、機会があれば聴くようにしています。
 しかし残念ながら、2011年3月25日に聴いた名古屋二期会フレッシュコンサートの蝶々さんがピークで、その後は期待外れのことが多いです。
 期待が大きすぎるんですけれどもね。
 それから、名前が「純子」→「純」を経て、「純子」に戻っていました。

 スズキ役の宇野啓子さんは、見た目がスズキそのもので、スズキに成り切った演技にも感心しました。