音楽史跡とオペラの旅 掲示板 401−450

ホームページに戻る  1−50  51−100  101−150  151−200  201−250
251−300  301−350  351−400  401−450  451−500  501−550
551−600
 

400. インテルメッツォ(7/19) お部屋番・いんぜる  2004/07/20 (火) 00:11

 近ごろ下調べも億劫になって、プログラムで予習をしようと開場前の列に並びました。
 この作戦が大成功で、対訳付きのプログラムはあっという間に売り切れ、郵送予約の長い列が出来ていました。
 さて、そのプログラムの解説によれば、このオペラはリヒャルト・シュトラウス夫妻の間に実際に起こった夫婦喧嘩をオペラ化したという驚くべき作品でした。

    東京室内歌劇場 《インテルメッツォ》 日本初演
     (交響的間奏曲を伴う2幕の小市民喜劇)
      台本・作曲:リヒャルト・シュトラウス

     2004年7月19日(月・休)3:00PM
         新国立劇場中ホール

      指揮:若杉 弘 / 演出:鈴木 敬介
      ロベルト・シュトルヒ:多田羅 迪夫
         クリスティーネ:釜洞 祐子
          ルンマー男爵:近藤 政伸

 宮廷楽長ロベルト・シュトルヒはウィーンに2ヶ月の出張。
 その留守宅に届いたのは『オペラのチケットを2枚送ってね。その後は、いつものバーで。あなたのミーツェ・マイヤーより』という手紙。
 この手紙を読んだ妻クリスティーネは激怒して、夫に離婚を申し立てる電報を送るが‥‥。

 内容を知らされずにドレスデンでの初演(1924年11月4日)に臨んだ妻パウリーネの怒りは凄まじいものだったそうです。
 それはそうでしょう。
 舞台の上にいる自分が、シュトラウスの友人から「俺がそんな女のそばにいたら、あっという間に精神病院行きさ」なんて言われているし、フィナーレでは自分が「あなたは立派で、純粋で、光り輝いている夫だわ!あなただけを永遠に愛し続けます」なんて歌っているんですから。
 うっぷん晴らしとか、面白半分とかいう言葉が頭に浮かんできますね。

 作品としては「インテルメッツォ」という名前の通り、間奏曲の部分が、夫婦喧嘩にはもったいないほどの充実した音楽でした。
 主役の釜洞さんは声量にちょっと不満は感じましたが、膨大なドイツ語のテクストに挑戦して、輝かしい成果を収めたと言っていいでしょう。

 鈴木敬介さんの演出は、舞台装置を動かすことにより、特に一幕の頻繁な場面の移動に対応し、上手いものだと思いました。

 僕は新しいものが好きなので、次々と日本初演のオペラを指揮してくださる若杉弘さんには、いつも感謝しています。


401. ジプシー男爵 びわこホール(7/25) お部屋番・いんぜる  2004/07/26 (月) 21:38

 昨年9月に見た堺シティオペラのプッチーニ《三部作》の岩田達宗(いわたたつじ)さんの演出が気に入りまして、今回は岩田さんの演出を楽しみにびわこホールまで行ってきました。
 プログラムによれば、《三部作》の演出は「音楽クリティッククラブ賞・大阪舞台芸術賞」を受賞したそうです。
 http://www.nakash.jp/opera/sonota/review/sakai/sakai.htm

       ヨハン・シュトラウス オペレッタ《ジプシー男爵》
      2004年7月25日(日)14:00開演 びわこホール

         指揮:佐藤功太郎    演出:岩田達宗
       バリンカイ(ジプシー男爵):北村敏則
          ザッフィ(ジプシー娘):尾崎比佐子
          ツィブラ(ジプシー女):小林久美子
            シュパン(豚飼い):晴 雅彦
      アルゼーナ(シュパンの娘):黒田恵美

 びわ湖ホールが制作するオペラの新シリーズ「びわ湖の夏・オペラ ビエンナーレ」。
 第一回の今年はヨハン・シュトラウスの《ジプシー男爵》でした。
 オペレッタなのでセリフがあり、そのためか日本語公演でした。

 岩田達宗さんの演出は期待はずれでした。
 オペレッタの演出はオペラより難しいとは思うんですが、ちっとも面白くない。
 名古屋芸術大学の《こうもり》の方が、ずっとオペレッタになっていました。
 http://www.nakash.jp/opera/review04/07koumori.htm
 佐藤功太郎さんの指揮もウィーンらしさに欠ける硬直した印象で、オケ(大阪センチュリー交響楽団)の出来も良くなかったようです。

 ビエンナーレとは「二年に一度」の意味だそうで、2006年はトマの《ミニョン》が予定されています。
 僕はたまたまゲルトナープラッツ劇場(ミュンヘン)でこのオペラを見たんですが、退屈なオペラで心配です。
 http://www.nakash.jp/opera/2001ludwig/12gaertner.htm


402. Re: 《山賊》 7/17 レビュー 真雪  2004/07/30 (金) 23:40

 で、昨日(7/29)みてまいりました。

 リヨン・オペラよりは分かり易い、と思いました(^^;)。
 とにかく山賊は絵に描いたような荒くれ姿だし、王子様は御伽噺から出てきたようなカボチャブルマーだし、スペインの一行はもろにフラメンコダンサーみたいだし。楽しかったです。
 曲もブン大将よりいいように思いました。

 でも確かにあちらの王族の結婚の儀式がよくわからんのがネックですね。
 何で輿入れの先に男爵が先に行かねばならないのか、とか。
 そのため山賊達に二重の変装が必要になってしまうのがややこしい。
 でも変装の過程を着重ねでみせている点は、とても分かり易くて笑えました。
 下から山賊、コック、男爵、の衣装が全部見えてます。

 パンフレットにも書いてあったリヨンのモダンな演出はスタイリッシュで格好いいのですけど、とにかく一味がイタリアのギャングとモダンガールになっているため、結構お洒落で,上流の人達と混じっても区別がつかず、ややこしいのです。
 しかも最後のオチはボスが爆弾持って王宮もろとも自爆寸前に「こんな暗いオチでいいのか!オペレッタなのに」という理由で「ファルサカッパが警察署長に就任」で急展開のハッピーエンド。
 フィオレラの助命嘆願は無し。メタっぽいです。前衛的なのかも?

 しかしなんといっも野口さんの明るさが舞台に戻ってきたのが、嬉しゅうてかないませんでした。(ピエトロの寄り目は市川海老蔵君の睨みよりオーラがあるように思います。)


403. 山賊・千秋楽 (8/1) お部屋番・いんぜる  2004/08/04 (水) 01:21

 トルコ料理店『メルハバ』で「ケバブ」と「伸び〜るアイスクリーム」を食べまして、7時ぎりぎりに演芸場に到着すると、「ただいま打ち合わせ中」とのことで、開演時間が7時半に変更になっていました (@_@)。
 仕方がないので大須観音の屋台で時間をつぶしました。
 この日は「大須夏祭り」で、昼にはサンバパレードもあったのでした。

 さて、会場に入りましたところ、「主演の大脇薫急病のため、演出に変更があります」との放送が入り、ちょっと緊迫した雰囲気になります。
 演出の岩田さんに聞いたところ、「今日の昼までは声は出ていたんだけれどね」とのことで、風邪で声の調子が悪いようです。
 結局、フィオレッラのパートを陰で女性全員で歌い、大脇さんの負担を減らす作戦だったようですが、大脇さんは大部分を自力で歌っていたようでした。

 舞台は第2日目に見たときから較べると、「若い王子?」「僕、若井雄司」なぞという馬鹿馬鹿しいギャグも入り、ずいぶん流れが良くなった印象を受けました。

 毎年おなじみの千秋楽バージョンですが、今年はパーカッションの隈取りやチャイナドレスもなく、地味な印象。
 しかし、第三幕の前にコンマスの宗川くんが金髪のカツラをかぶり眼鏡をかけて、バイオリン3台で「冬のソナタ」の演奏がありました。
 開場からは「ヨンさま〜〜!」とのかけ声も掛かり、時宜を得たアイディアといえましょう (^_^) 。

 恒例のエンドレス・カーテンコールも例年通りの盛り上がりで、終演後はビールのサービスもありました。
 劇場前には多くの人が出待ちをしておりまして、出てきた役者さんやオケのメンバーとの交流を見ていると、「今年の夏も終わったんだな」との感慨が湧いてきます。


405. 新・ワーグナー家の女(8/3) お部屋番・いんぜる  2004/08/05 (木) 23:22

        木山事務所公演「新・ワーグナー家の女」
        2004年8月3日(火)7:00PM
           名古屋市芸術創造センター

          作・演出=福田善之  音楽=林 光
        ヴィニフレッド・ワーグナー: たかべしげこ
        フリーデリント・ワーグナー:水野ゆふ
            ピアノ演奏:安藤由布樹

 第二次大戦後の1946年、国外へ出奔していた娘フリーデリントは、「ナチ協力者」として裁判にかけられる母ヴィニフレッドを救うためにバイロイトへ帰ってきた。
 舞台は「裁判のためのリハーサル」という設定。

 リヒャルト・ワーグナーのパトロンはルードウィッヒ2世、そしてヴィニフレッド・ワーグナーのパトロンはアドルフ・ヒトラー。
 ナチスによるバイロイト支配に反抗するフリーデリントは、トスカニーニの手助けでフランスへ亡命する。
 娘の詰問に「彼の政治がどうあろうと、私にとっては、芸術を愛するパトロンだったというだけ。ワーグナーの芸術を」と答えるヴィニフレッド。

 ワーグナーに関心を持つ僕には緊迫した興味深い舞台でしたが、一般の人にはどうだったのでしょう?
 最後に裁判に参加した人々の言葉として作者の思いが語られるのですが、在日朝鮮人問題や《トスカ》みたいな話も出てきて、取って付けたような印象でした。
 しかし、真剣な制作意図を持った作品であることは評価したいと思います。
 ピアノでワーグナーのメロディーが演奏されると、そちらに耳が行ってしまって、セリフが聞き取れなくなり困りました (^_^ゞ。

 中公新書「ヴァーグナー家の人々」(清水多吉)を読み返してみると、フリーデリントの出奔は大事件だったようで、フルトヴェングラーが説得のためパリに送られたとか。
 フリーデリントはその後トスカニーニの養女として迎え入れられたそうです。

 この舞台ではヴィニフレッドが敗者、フリーデリントが勝者の立場になっていますが、ヴィニフレッドはバイロイトに残り、フリーデリントはヴァーンフリート荘に入ることを拒否され、アメリカに戻ったそうです。
 そして、バイロイト音楽祭はヒトラーに可愛がられたヴィーラントとヴォルフガングの兄弟の時代へと移っていくわけです。
 勝者はどちらなのでしょう?
 「お前がバイロイトを乗っ取るために来たという噂は本当なの?」というヴィニフレッドのセリフが思い出されました。


406. チューリッヒのワーグナー フンメル [URL]  2004/08/08 (日) 09:43

 スイスを旅行してましたが、いんぜるさんの旅行記を参考にさせてもらいました。
 特にチューリヒのヴェーゼンドンク邸やZELTWEGの家については、他に資料がなかったので助かりました。
 ↑の「ワーグナー家の女」面白そうですね。
 ワーグナーという作曲家は、彼の生涯・家族・子孫までがドラマですね。勿論作品自体がそれだけ偉大だっていうことが前提ですけど。


407. Re: チューリッヒのワーグナー お部屋番・いんぜる  2004/08/08 (日) 19:45

 フンメルさんのHPを拝見しますと、フンメルさんは、カスパール・ダヴィッド・フリードリヒの「リューゲン島の白亜岩」の実物を御覧になったのですね。
 羨ましいことです。
 他の記事を読んでいても、僕の興味の対象とフンメルさんの興味の対象が似ていて、嬉しくなってしまいます。
 「フンメル」のハンドル名の由来は、作曲家ではなかったのですね。


408. コンヴィチュニー フンメル [URL]  2004/08/11 (水) 02:40

 僕もこのサイトを見つけた時は、同じ場所を共有している人がいると知り、とても嬉しかったです。
 とはいえ、いんぜるさんの場合、徹底的に、関連の土地を制覇してますよね。
 しかも日本からの短期間の旅行の間に...、すごいの一言です!

 オペラも幾つか重なってます。コンヴィチュニーのヴォツェック(ハンブルク)、仮面舞踏会(ドレスデン)は僕も見てます。
 辛口のコメントをされてますが、その通り。この2作品は、コンヴィチュニー演出の中では、よくないものです。
 仮面舞踏会はまだ80年代のものなので、こんなものか、と思えますが、ヴォツェックが批評家に絶賛を受けたというのは???です。


410. 16000番(8/12) お部屋番・いんぜる  2004/08/12 (木) 01:37

 8月12日に 16000番


411. 「ミス・サイゴン」プレビュー8/12 真雪 [URL]  2004/08/14 (土) 00:35

 盆休みで東京に行ったのでみてきました。
 去年の夏、中日劇場の「シンデレラ・ストーリー」で王子様を演じた井上芳雄君はあいかわらず美声でした。
 同じく「シンデレラ...」で彼と共演していた大臣役の橋本さとし氏。
 今回エンジニアですが、なかなか上手いです。
 日本人が演じると浮いて恥ずかしくなるような芝居もなんなく決めて観客をノセます。
 多分こういう点はロックコンサートで鍛えているのかも。
 キムの笹本さんは初々しくっていいなあ、とおもったら本当にまだ十代なんですね。
 宣伝では松さん、市村さんばっかりですが、今回は「アタリ」のキャストでした。
 しかしシェーンベルクの曲は相変わらず私と相性が悪いです。(^^;) 


412. お盆休み(秋田&青森) お部屋番・いんぜる  2004/08/15 (日) 23:26

 お盆休みに東北早周りをしてきました。
 13日は「県庁めぐり・秋田」で、南木佳士が通った秋田大学医学部と、桜が有名な角館。
 14日は岩木山(津軽富士)と西津軽海岸(夕日海岸と呼ばれているそうな)で夕日の写真に挑戦。
 またレポートしますが、さしあたり写真が撮れているかどうかが心配で心配で (^_^ゞ。


413. Re: 「ミス・サイゴン」プレビュー8/12 お部屋番・いんぜる  2004/08/15 (日) 23:35

 素早いですね。
 僕は29日にマチネ&ソワレを見る予定です。
 マチネは別所&新妻、ソワレは筧&松です。

 でも、その前に25日に「四谷怪談」があるんだな。
 最後まで見ると新幹線に間に合わないようで、途中で帰るか高速
バスにするか悩んでいます。

》しかしシェーンベルクの曲は相変わらず私と相性が悪いです

 僕は好きで好きで。
 必ず泣けるんですよ (^_^ゞ。


414. Re^2: 「ミス・サイゴン」プレビュー8/12 真雪 [URL]  2004/08/16 (月) 00:22

 シェーンベルク、お好きでしたか(^^)。
 多分クラシックに近い構成なんでしょうね。私はジャズっぽい曲調に走ります(^^;)。
 お望みでした松さんの日でよかったですね。

> でも、その前に25日に「四谷怪談」があるんだな。
 実は二日目、当日券一幕見席を狙って歌舞伎座ボックスオフィスに並びました。
 四谷怪談は4時間半、外で並ばなければならないので諦め、蘭平物狂も2時間以上待っても立ち見なのでパス、第一部の「蜘蛛の拍子舞」だけみてきました。
 しかし時間と根性さえあれば毎月でも歌舞伎がみられる環境はうらやましいですね。


415. Re^3: 「ミス・サイゴン」プレビュー8/12 お部屋番・いんぜる  2004/08/16 (月) 16:55

 そりゃ一幕見席も大変ですね (@o@) 。

 松さんも四谷怪談も、東宝や歌舞伎座ではソールドアウトで、ヤフーオークションで手に入れました (^_^)。


416. 秋田大学医学部(南木佳士の旅・1) お部屋番・いんぜる  2004/08/20 (金) 23:11

◇秋田大学医学部(南木佳士の旅・1) 8/13

 「南木佳士の旅」、今回は彼が卒業した秋田大学医学部です。
 佐久総合病院、群馬県の嬬恋村、国立市の国立高校と回った「南木佳士の旅」も、一応の完結でしょうか。
 http://www.nakash.jp/kikou/kikoui04/07akita/01akita.htm

  僕が南木佳士の作品で一番好きなのは「医学生」。
 「医学生」は解剖実習のグループとなった4人の医学生の青春群像ですが、もちろんこれらの人物に南木佳士自身が投影されています。

 国立高校を卒業した南木佳士は、現役での医学部受験は数学の出来が悪くて浪人。
 昭和46年に絶対安全と言われた一期校の千葉大学医学部を受験するも不合格となり、都落ちして二期校の秋田大学医学部に入学しました。
 田舎の新設医学部での生活は南木佳士にとって不本意で、挫折感と劣等感の中で彼が秋田での生活を嫌い抜いたことは「医学生」を始めとする多くの作品に繰り返し書かれています。

 さて、僻地かと思っていた秋田大学医学部付属病院は秋田駅から意外に近く、バスも多く通っています。
 「医学生」では、「入学したとき、秋田大学医学部はその姿も形もなかった。‥‥田んぼを整地するブルドーザーが一台見えたきりだった」と書かれていますが、30数年たった今では、もちろん周辺に建物が建っています。
 むしろヒビが入った病院の古さが気になりました。
 この日はお盆の金曜日でしたが、通常の外来診療が行われてました。

 「医学生」では、吹雪の中を国道から大学に向かう道をラッセルしながら進む車谷和丸の姿が書かれています。
 雪に埋もれたバス停の看板に躓いたとか。
 吹きさらしだった病院前の道も、今では街路樹が整備され、店舗やアパートが並んでいました。

 車谷和丸が住んでいたのは秋田市広面大字昼寝にある「昼寝アパート」。
 病院前でタクシーに乗り、「昼寝というところに行ってください」と言ったところ、「昼寝というところはないよ」という返事(@_@)。
 よくよく話を聞けば、昼寝というのは田んぼの名前で、区画整理で昼寝の地名は無くなってしまったんだそうです。
 現在では「赤沼入口」のあたりに当たるそうで、バス停の写真を撮っておきました。
 秋田駅から大学病院のちょうど真ん中あたりで、「医学生」では「田んぼの中にポツンと建つ昼寝アパート」と書かれているんですが、「赤沼入口」周辺にはぎっしりと建物が並んでいました。


417. 久保田城趾と川反(南木佳士の旅・2) お部屋番・いんぜる  2004/08/23 (月) 01:31

◇久保田城趾と川反(南木佳士の旅・2) 8/13

 佐竹氏は源氏の流れをくむ名門ですが、関ヶ原合戦後の国替えで、佐竹義宣は常陸から秋田に転封されました。
 1603年(慶長8年)義宣は久保田の地に新たに城を築き始めました。
 そして12代義堯(よしたか)が明治維新を迎えるまで、267年を藩主として過ごしました。

 明治4年、久保田の名前は秋田と改められました。
 佐竹氏の居城であった久保田城は、今では千秋(せんしゅう)公園となっています。
 佐竹資料館にも寄ってみましたが、佐竹のお殿様が書いた日本画が並んでいました。

 南木佳士の時代、付属病院はまだ基礎杭が打たれただけの状態で、臨床実習(ポリクリ)は城跡公園の前にある県立中央病院で行われました。
 その県立病院は、今では脳血管研究センターとなっていました。

 小宮雄二は城跡公園に近いアパートに住み、川反(かわばた)と呼ばれる飲屋街に出没し、「おかめ」という小料理屋の出戻り娘との間に子供が出来、不本意ながら学生結婚することになります。
 「医学生」では川反について「雄二が生まれた新潟にも、浪人時代に住んでいた新小岩にもこれだけ規模の大きな飲屋街はなかった」と書かれています。

 その川反は竿灯大通りに近く、大きな料理屋からファッションヘルスまで大小の店が立ち並び、 「花柳界として東北一の繁栄を誇った歴史と伝統」(医学生)を感じさせる歓楽街でした。
 まあ、昼間に歩いても面白くありませんでしたがね (^_^ゞ。

 これで秋田観光はおしまい。
 秋田名物「稲庭うどん」を食べて、秋田新幹線「こまち」で角館へ移動します。
 途中の車窓から太平山(たいへいざん)の裾野が見えました。
 秋田を嫌い抜いた南木佳士ですが、秋田の海と太平山には心を癒されたようです。

 「医学生」のエピローグでは、卒後15年の4人それぞれの生活が書かれます。
 今野修三の「マニュアルに若干の経験を加えて診断、治療をする。治るものは治り、治らないものは治らない。よほど鈍感な医者でない限り、自分が神でないことを知るのは早い」というしみじみとした述懐には、心惹かれるものがあります。


418. 四谷怪談・歌舞伎座(8/25) お部屋番・いんぜる  2004/08/28 (土) 22:25

 有名な四谷怪談の名前は知っていましたが、舞台もテレビも見たことがありません。
 僕の場合「通し狂言」と「一生一度のチャンス(かも)」というのがキーワードで、ウィークデイの夜だというのに、歌舞伎座まで行ってしまいました。
 終演が9時45分とのことで新幹線は諦め、夜行バスで戻って参りました。
 チケットは3階席で3150円なんですが、交通にかかる費用と時間と体力がきつい。
 東京に住む人が羨ましいことです。

        八月納涼歌舞伎《四谷怪談》
       2004年8月25日(水)6:00PM

    お岩・小仏小平・佐藤与茂七:勘九郎
             民谷伊右衛門:橋之助
     お岩妹お袖・小平女房お花:福 助
              直助権兵衛:三津五郎

 松の廊下の刃傷による赤穂藩の御家断絶の騒動に紛れて御用金を盗んだ元赤穂藩士・民谷伊右衛門。
 妻のお岩は、産後の肥立ちが悪く、寝たり起きたりの生活。
 隣家の伊藤喜兵衛(吉良上野介の家臣)の孫娘お梅は伊右衛門に一目惚れ。
 お梅の婿にと望まれ、お岩が邪魔になった伊右衛門は‥‥

 これはそれほど出来の良い作品とは思われませんでした。
 まず、お岩は最初からみじめなキャラクターで、魅力に乏しい。
 これでは伊右衛門が心変わりするのも分かるなあと‥‥ (^_^ゞ。
 玉三郎や福助のような美人が演じればまた別の印象もあったかもしれませんが、勘九郎は(もちろん上手なんですが)美人とはいえませんからね。

 しかし、いろいろな仕掛けは面白かった。
 戸板に打ち付けられた小仏小平(勘九郎)を裏返すと、お岩(勘九郎)の死体があって、すぐ横から佐藤与茂七(勘九郎)が出てくるという「戸板返し」などは、どうなっているのでしょう。
 お岩も幽霊になってからは空を飛んだり動きが激しく、生きているときより面白かったですね。
 お岩の妹お袖は赤穂藩士の娘なんですが、お家断絶で女郎に身を落とすなど、お殿様の短慮で赤穂藩士も苦労をしたようです。


419. Re:四谷怪談 真雪  2004/08/30 (月) 22:20

 舞台でご覧になられたとは羨ましいです。
 地方公演はあまりないので、テレビで見たことしかありませんが、六代歌右衛門さんのお岩は物凄く怖かったです。
 官舎で1人で見たのですが、テレビの前で固まってしまいました。
 玉三郎さんの時は「とおおっても可哀想」という感じでした。
 大須歌舞伎で演じたらどんなものでしょうね。


421. Re^2:四谷怪談 お部屋番・いんぜる  2004/08/30 (月) 23:38

》テレビで見たことしかありませんが、六代歌右衛門さんのお岩は物凄く怖かったです。

 勘九郎もアップで見れば怖かったかも。
 3階席だったので、よく見えなかった (^_^ゞ。
 歌舞伎座って、オペラグラスの貸し出しがないのね。

 それから、テレビはイヤホンガイドが無いので、よく分かりません。
 『助六』も途中で挫折しました (^_^;。
 名古屋公演をイヤホンガイド付きで見るのを楽しみにしています。


423. ミス・サイゴン 8/29(T) お部屋番・いんぜる  2004/08/31 (火) 23:50

 《ミス・サイゴン》は『ベトナム版・蝶々夫人』。
 僕はこのミュージカルが大好きで、1992年の日本公演には東京まで何度も遠征したものです。
 蝶々さん役のキムや、キムに撃ち殺されるトゥイが気の毒で、クロード=ミシェル・シェーンベルク(十二音音楽のアーノルド・シェーンベルクの兄の孫かな)の美しい音楽と相まって、泣ける泣ける。
 また、最新の舞台装置を駆使したニコラス・ハイトナーの演出は、「サイゴン陥落」などの群衆シーンが素晴らしい。

 ロンドンやニューヨークの舞台も見ましたが、特にニューヨークでは「この劇場にベトナム戦争に従軍した元アメリカ兵や、命がけで海を渡ってきたボートピープルが居るかもしれない」という生々しさに、異様な感動を受けました。

 ロンドンやニューヨークの公演がクローズしてしまい、世界中どこへ行っても、もうこのミュージカルを見ることが出来ないのかと残念に思っていましたので、今回の再演は嬉しい限りです。

       ミュージカル《ミス・サイゴン》
      2004年8月29日(日) 帝国劇場

             12:30    17:15
    エンジニア: 別所 哲也   筧 利夫
       キ ム: 新妻 聖子   松 たか子
       クリス: 井上 芳雄   石井 一孝
       ジョン: 坂元 健児   今井 清隆
       エレン:  A N Z A    石川 ちひろ
       トゥイ: 泉見 洋平   泉見 洋平
       ジ ジ: 高島 みほ   平澤 由美


425. ミス・サイゴン 8/29 (U) お部屋番・いんぜる  2004/08/31 (火) 23:53

 今回の再演はキムとエンジニアが4人いるクアトロキャスト。
 他のキャストもトリプルやダブルキャスト。
 地方在住では全員制覇するのも大変です。

 右手にハンカチ(泣くから (^_^ゞ)、左手にオペラグラスの観劇でしたが、全体的に、初演に較べると薄味のような気もしました。
 以下はキャストの印象です。

エンジニア:
 筧さんのエンジニアは役になり切っていて、期待以上の出来。
 『釣りバカ日誌15』では、地味な秋田の水産研究所員だったのに‥‥。
 別所さんは無理をしている印象でした。

キ ム:
 松たか子さんは大物すぎて、田舎から出てきた17歳の少女には見えませんでした。
 新妻さんのアリア『命をあげよう』は素晴らしかったですね。

クリス:
 井上さんはアメリカ兵にはノーブルすぎて、やはり《エリザベート》のルドルフ皇太子の方が合っているでしょう。
 石井さんは良かったですね。

ジョン:
 ジョンは坂元さんが良かった。
 今井さんは初演の時もこの役を演じており、12年も経っていてはクリスの友人として歳を取りすぎているでしょう。

エレン:
 A N Z Aさんは西川ヘレン風のルックスで、年上に見えてしまいました。

トゥイ:
 泉見洋平さんは良かったですね。
 このベトナム人の若者はベトコンとなって国のために戦いながら、親が決めた許嫁だったキムのことを愛し続けている、純粋な人間。
 新政府の高官となり、愛するキムと暮らせると胸を高鳴らせてやってきたのに、キムには子供(タム)がいた。
 「この子供を他人に見られてはいけない」、とっさにそう考えた彼はタムに刀を振り上げ、そしてキムに撃ち殺されちゃうんですね。
 天国から地獄へ‥‥彼の気持ちを思うと泣けます。


426. 三重からのウィーン情報 ミスターKY  2004/09/05 (日) 11:25

 以前、パソコン通信のF-MUSICALや県芸など名古屋のホールで2−3度お会いしたことがある、ミスターKYです。昨年の私のウィーン旅行では、このHPを大いに参考にさせていただきました。このHPにふさわしいかどうか分かりませんが、ウィーンに関する情報を二つ、お届けします。

1.「観光コースでないウィーン、美しい都のもう一つの顔」
  私が少し知っている三重県在住の松岡由季さんと言う、若い女性が最近出した本で、第一次大戦後から最近までの、ウィーンを中心としたオーストリアでのナチス問題を解説したものです。
  私はオペラや音楽を通して、甘く・美しく・華やかなウィーンしか知りませんでしたが、これを読んで、普段は見えない裏側を見た思いで、複雑な心境ですが、知っておくべき内容だとも思いました。
  (株)高文研の発行で、価格は1600円+税ですが、もし興味をもたれれば、ぜひ、お読みください。

2.ウィーン・フィル三重公演
  三重県文化会館の開設10周年を記念して、11月13日(土)18:30から、三重県文化会館大ホールで、V.ゲルギエフ指揮で、チャイコフスキーの交響曲第4番とウィーンナワルツが演奏されます。今回、東海地区では三重だけです。
  通常、ウィーン・フィルのチケットはすぐに完売になるものです  が、三重県では破格の高値?であるためか、29,000円のS席と25,000円のA席がまだ少し残っています。
  まだでしたら、ぜひ、おいでください。 


427. Re: 三重からのウィーン情報 お部屋番・いんぜる  2004/09/05 (日) 21:09

 ミスターKYさん、お久しぶりです (^_^) 。

1.「観光コースでないウィーン、美しい都のもう一つの顔」
 この本は、ぜひ読んでみたいと思いますが、どこへ申し込んだらよいのでしょうか?
 「クロネコ・ブックサービス」のリストには載っていませんでした。

 最近オーケストラの演奏にはあまり関心がありません。
 ウィーンフィル+ゲルギエフ+曲目 を頭の中でコンピュータ処理すると、だいたい演奏が想像できてしまう。
 それなら、わざわざホールまで行かなくても、という感じですね。

 それより、11月の 四日市市民オペラ《ラ・ボエーム》の方が興味深い。
 演出の池山奈都子さんはお気に入りです。
 でも、指揮の竹本泰蔵さんは、アマオケ時代に、ちょっと印象が悪くて‥‥ (^_^ゞ。


428. 「ブラームス回想録集」(音楽之友社) お部屋番・いんぜる  2004/09/05 (日) 21:29

 「ブラームス回想録集」(音楽之友社)という本を見つけました。
 全3巻のうち、2巻までが出版されているようです。
 これは、ブラームスの死後、彼を知る人々によって書かれた文章を集めたもので、生き生きとしたブラームス自身を目の前に見ることが出来ます。

 ブラームス関連史跡を訪れている僕にとっては、ウィーン、バートイシュル、ザスニッツ、ミュルツツーシュラークなどの土地が懐かしい。
 ザスニッツではブラームスが海で泳いでいたことに驚きました。
 ミュルツツーシュラークでは、隣家の火事の話が興味深かったですね。


429. Re^2: 三重からのウィーン情報 ミスターKY  2004/09/06 (月) 11:26

> ミスターKYさん、お久しぶりです (^_^) 。
  こちらこそ、長らくご無沙汰しています。

> 1.「観光コースでないウィーン、美しい都のもう一つの顔」
>  この本は、ぜひ読んでみたいと思いますが、どこへ申し込んだら
> よいのでしょうか?
  私は近所の書店に頼んで、取り寄せてもらいました。
 Amazon Comにはあるのではないでしょうか? 

>  最近オーケストラの演奏にはあまり関心がありません。
>  ウィーンフィル+ゲルギエフ+曲目 を頭の中でコンピュータ処
> 理すると、だいたい演奏が想像できてしまう。
  確かに、最近はウィーンフィルも毎年来ていますし、その他のオケを含めると、うんざりするほど沢山、来ています。

>  それより、11月の 四日市市民オペラ《ラ・ボエーム》の方が
> 興味深い。
>  演出の池山奈都子さんはお気に入りです。
  私の友人が合唱で参加しており、昨5日の日曜日から池山さんが来られて、立ち稽古が始まったそうです。
 池山さんには、私も名古屋の男声合唱団で2度、演出していただいています。
 なかなか厳しいですが、大変、よい経験ができました。


431. 広大のオペラ学長ご存知ですか? 石田純郎  2004/09/06 (月) 22:56

 広島大学の原田前学長(耳鼻科学)は、オペラの名手。
 広島大学にオペラハウスを作り、イタリアから女優を呼んで、自分が総監督と主演をして、椿姫を昨年11月に上演したのをご存知ですか?

 若いときにイタリアのパビア大学に留学し、専門の耳鼻科だけでなく、オペラも勉強してきたようです。


433. Re: 広大のオペラ学長ご存知ですか? お部屋番・いんぜる  2004/09/07 (火) 00:01

> 広島大学の原田前学長(耳鼻科学)は、オペラの名手。
> 広島大学にオペラハウスを作り、イタリアから女優を呼んで、
> 自分が総監督と主演をして、椿姫を昨年11月に上演したのを
> ご存知ですか?

 それは存じ上げませんでした。
 広島のオペラは「じゅごんの子守歌」かな?

 インターネットで検索したら、原田前学長はアルフレードを歌われたのですね。
 元学長なら、年齢的にはジェルモンかと思っていたので、驚きました。

 むかしパソコン通信のFCLAで、お医者さんがグレンヴィル医師役で出演して、「もう長くはありますまい」と言ったら、開場に来ていた患者さんが笑った、という話題が出ていました (^_^) 。


434. 原田オペラのDVD 石田純郎  2004/09/07 (火) 18:44

 この日曜日に原田元学長にお会いして、原田椿姫のDVDを貰いました。
もし、興味がおありなら、お貸ししても良いです。その場合は、何らかの方法で、住所をお教え下さい。

 DVDはプロの撮影のようで、手もぶれていませんし、やたらカメラを振り回してもいません。役者が結構大きく移っていますし、音質も悪くはありません。

 この1回のオペラ公演のための元学長の持ち出しは、3000万円か?と思っています。


435. Re: 原田オペラのDVD お部屋番・いんぜる  2004/09/09 (木) 18:15

> もし、興味がおありなら、お貸ししても良いです。

 ありがとうございます。
 しかしながら、最近はものぐさになって、映像を見ることもなくなりました。
 初見のオペラもぶっつけ本番です。
 CDを買ってもほとんど聴かないので、CDも買わなくなりました。
 最近聴くのは「冬のソナタ」かな (^_^;。

> この1回のオペラ公演のための元学長の持ち出しは、
> 3000万円か?と思っています。

 「男子の本懐」ですね (^_^)。


436. 十一代目海老蔵襲名披露『助六』 お部屋番・いんぜる  2004/09/10 (金) 21:39

  十一代目市川海老蔵襲名披露『助六』 御園座
   2004年9月9日(水)4:00PM

 海老蔵の襲名披露ということで、会場はほぼ満席。
 ロビーも華やいだ雰囲気です。

 助六は花道からの登場が見所なんだそうで、8月の歌舞伎座『四谷怪談』は3150円の三階席で見たんですが、今回は花道が見渡せるように2万円の一階席を奮発しました。

 僕は歌舞伎初心者で全ての作品が初見なんですが、『四谷怪談』の民谷伊右衛門が元赤穂藩士だったり、助六が曾我兄弟だったり、さすがに歌舞伎は奥が深いものです。

 さて、『助六』の名前は有名ですが、思いの外ストーリーに動きが無く、退屈した部分もありました。
 2時間の長時間ですからね。

 まあ、江戸の様式美を楽しむ作品でしょうか。
 しかし、市川家の「家の芸」である歌舞伎十八番の『助六』を、海老蔵の襲名披露で見ることが出来たのは、いいチャンスでした。


437. Re: 十一代目海老蔵襲名披露『助六』 真雪  2004/09/12 (日) 13:53

>  しかし、市川家の「家の芸」である歌舞伎十八番の『助六』を、海老蔵の襲名披露で見ることが出来たのは、いいチャンスでした。

 新さんの舞台は8月の観劇で予算を使い果たしたので、残念ながらパスです (^^;) 口上で「睨んでご覧に入れましょう」とか披露したのでしょうか?(大河ドラマの「武蔵」でもやたらに周りを睨んでいたけれど、お家芸なんだから仕方がない、と思っておりました)
 片岡仁左衛門さんも御園座の襲名披露(夜)で「助六」を演じておられました。市川さんちとはかなり感じが違いました。御本家の方はおおらかな雰囲気ですね。(私は市川家の生舞台はお父さんの襲名の時しか見てませんが)昔の江戸の芝居ってこんなかな、という感じ。片岡さんの助六は賢そうで「こいつの背景には何か裏があるな」というドラマを思わせるのです。演出に余り差がなくても、キャストでこれだけ違うのか、と思いました。細くて背が高くひょうたん島のダンディさんみたいな助六でしたね。


438. 17000番 お部屋番・いんぜる  2004/09/13 (月) 01:40

 《ローエングリン》に行っている間に、カウンターが17000を超えました。
 これを機会に分離している「気まぐれ日本紀行」を、元に戻そうかと考えています。
 別のサイトにするとリンクが難しいんです。
 ということで、しばらくリンクがおかしくなる部分もあると思いますが、徐々に手入れしていきたいと思います。


439. ローエングリン(9/11) の1 お部屋番・いんぜる  2004/09/13 (月) 01:41

 午前に仕事がある名古屋人に、2時開演はむごい仕打ちです。
 演目も《ローエングリン》と、ちょっと軽量だし、今年は行かないつもりでした。
 名古屋では、森麻季さんの《リゴレット》もあったし‥‥ね。
 この日は他にも、NHKホールの《蝶々夫人》、首都オペラ(横浜)の《魔弾の射手》、堺の《ファルスタッフ》など、オペラ公演が目白押しでした。

 しかし、7月末に飯守さんを囲む会(名古屋)に出席させていただいていろいろ抱負を伺って反省し、出かけることにしました。
 3時に到着したとき、会場のモニターではローエングリンとフリードリヒが戦っていました。

      オーケストラル・オペラ《ローエングリン》
   2004年9月11日(土)2:00PM 東京文化会館

    指揮:飯守泰次郎   演出:鈴木敬介
          管弦楽:東京シティ・フィル
    合 唱:洗足学園音楽大学 二期会合唱団

         ハインリヒ王:鹿野由之
       ローエングリン:成田勝美
            エルザ:緑川まり
         フリードリヒ:島村武男
        オルトルート:小山由美
         王の軍令使:成田博之


440. ローエングリン(9/11) の2 お部屋番・いんぜる  2004/09/13 (月) 01:42

 昨年の《神々の黄昏》の『ジークフリートの葬送行進曲』を指揮する飯守さんは神様のように見えたのですが、今年はそれほどでもありませんでした。
 曲目の違いが大きいんでしょうね。
 『エルザの聖堂への入場』など爽やかな部分が、特に印象に残っています。

 鈴木さんの演出は、お城や聖堂をスクリーンに映し、照明で舞台に陰影を付けたオーストドックスなもの。
 これなら「オーケストラル・オペラ」などと言わず、本格的オペラと言ってもいいでしょう。
 費用対効果を抜きに、新国立劇場のヴォルフガング・ワーグナー演出よりずっと気に入りました。

 合唱がたくさんいて驚きましたが、迫力があって良かったですね。
 合唱団を半円形に並ばせる鈴木さんの手法は、びわこホール《シチリアの夕べの祈り》で見たことがあります。

 オーケストラは失敗したときだけ取り上げられる気の毒な立場ですが、『エルザの聖堂への入場』など、夢のように美しかった。
 コンサートマスターの隣の奏者が途中で退場してしまいましたが、急病でしょうか?
 このような場合、後ろの奏者が前に詰めるのが普通ではないでしょうか?
 最後の部分で4人のバイオリニストが高い和音を演奏する部分があるんですが、第2音が抜けてしまったのでしょうか?

 キャストでは小山由美さんのオルトルートに期待していたんですが、低い音が弱く、凄みが足りないのは意外でした。
 他の方は予想通り。
 成田勝美さんのローエングリンは、時々心配でしたが、これも予想通り。
 これだけのレベルの歌唱を聴かせていただいたことに、素直に感謝しておきましょう。

 しかし、プログラムにも書かれていましたが、ローエングリンって変な人ですね。
 聖杯の騎士という高貴な身分を捨て、エルザと結婚して、死ぬまで暮らすつもりだったんでしょうか?
 ローエングリンには双子の兄弟(カルディス)がいるはずだから、婿入り先を探していたのかな?
 それでもエルザとの破局後、ローエングリンは聖杯王になるんですよね?

 僕はドレスデンでワーグナーが《ローエングリン》を作曲した家に行ったことがあります。
 興味がある方は http://www.nakash.jp/opera/2000bach/06lohengrin.htm へどうぞ。


441. Re: ローエングリン(9/11) の2 Nutria [URL]  2004/09/13 (月) 21:53

>このような場合、後ろの奏者が前に詰めるのが
>普通ではないでしょうか?

 シティ・フィルのBBSにその回答が出ていました。
 http://8522.teacup.com/cityphil/bbs

 当日のコンサートマスターの名前についても、気になるようでしたら、公演の感想がてらここで訊かれてはいかがでしょうか?

 あと、休憩中に外に出る人がたくさんいましたが、すぐそばのコンビニ(公園案内所の建物内)に行かれる方が多かったのではないでしょうか。中で買うと高いですから。

 私は開演前にペットボトルを2本買って入場したので、ぬるくなってしまいました。


442. Re^2: ローエングリン(9/11) の2 お部屋番・いんぜる  2004/09/13 (月) 23:58

》このような場合、後ろの奏者が前に詰めるのが
》普通ではないでしょうか?
> シティ・フィルのBBSにその回答が出ていました。

 御教示ありがとうございます。
 まあ、本番は見慣れた楽譜で演奏したい気持ちは分かります。

 しかし、コンサートマスターが自分で譜めくりするのも、何だか単身赴任のお父さんのような印象ですね (^_^;。
 今回はオケピットの中だから良かったけれど、コンサートのステージ上だと大変ですね。


443. Re^2: 十一代目海老蔵襲名披露『助六』 お部屋番・いんぜる  2004/09/14 (火) 12:00

》新さんの舞台は8月の観劇で予算を使い果たしたので、残念ながら
》パスです (^^;) 

 そりゃ残念ですね。
 ロビーも華やいだ雰囲気で、ワクワクしましたよ。

》口上で「睨んでご覧に入れましょう」とか披露したのでしょうか?

 はい、睨んでいただきました (^_^)。

》片岡さんの助六は賢そうで「こいつの背景には何か裏があるな」
》というドラマを思わせるのです。

 海老蔵の助六は、あんまり考え事をしないタイプに (^_^;見えました。


444. 草軽電鉄(9/12) お部屋番・いんぜる  2004/09/19 (日) 21:54

◇ 草軽電鉄(9/12)
  http://www.nakash.jp/opera/kikoui04/08karuizawa/02kusakaru.htm

 芥川賞作家であり佐久総合病院の医師である「南木佳士の旅」。
 今回は第百回芥川賞受賞作『ダイヤモンドダスト』の舞台となった軽井沢です。

 軽井沢駅の前に「軽井沢駅舎記念館」が建っています。
 信越本線の軽井沢駅を記念館にしたもので、信越本線や草軽電鉄についての展示がされています。
 記念館の前に置かれているのが草軽電鉄(くさかるでんてつ)の電気機関車デキ12です。
 浅間山の裾を回って嬬恋から万座温泉口、草津温泉へと至る遊覧電車として、また硫黄や高原野菜の輸送に活躍したのですが、昭和20年に国鉄長野原線(現JR吾妻線)が開通すると乗客数が減少
し、また台風による被害も受け経営が悪化し、昭和37年1月31日に廃止となりました。
 しかし、今でも鉄道ファンや廃線ファンの人気を集めています。

 草軽電鉄は南木佳士の故郷である嬬恋三原を通っていました。
 彼は小説『エチオピアからの手紙』で「生まれ育った家のすぐ下を走っていた電車」と書いています。
 南木佳士の祖父はこの機関車の運転士でした。
 『エチオピアからの手紙』には祖父について詳しく書かれていますが、事実なのかフィクションなのかよく分からない部分もあります。
 その祖父は南木佳士が生まれたときには結核のため死亡していたそうですが、『ダイヤモンドダスト』に主人公の父親としてその姿が投影されています。


445. 軽井沢病院(9/12) お部屋番・いんぜる  2004/09/19 (日) 21:58

◇ 軽井沢病院(9/12)
  http://www.nakash.jp/opera/kikoui04/08karuizawa/03byouin.htm

 南木佳士は33歳の時に、軽井沢の町立病院に一年間出向し、軽井沢に住みました。
 そして、芥川賞を受賞した『ダイヤモンドダスト』は、軽井沢の病院が舞台となっています。

 軽井沢の観光案内所で聞くと、軽井沢には病院が「国民健康保険・軽井沢病院」しかないそうですが、この病院と南木佳士が勤務する佐久総合病院との関連はないそうです。
 どうなっているのか理解できませんでしたが、何はともあれ中軽井沢にある「国民健康保険・軽井沢病院」に行ってみました。

 病院は平成14年に新築され、新しい建物となっていました。
 病院前から見る浅間山は相変わらず雲の中です。

 救急受付のお姉さんに再度確認したのですが、やはり佐久総合病院とは無関係で、群馬大学とか富山医科薬科大学のドクターが多いそうです。

 よく分からないまま中軽井沢駅に戻り昼食です。
 駅前には「かぎもとや」というお蕎麦屋さんがありまして、これが有名店らしく、次々とお客さんが車でやって来ます。
 小澤征爾の色紙が壁に貼られていました。

 その後、エッセイ集『ふいに吹く風』の「細部への旅」という作品に「心が平和なときは中軽井沢駅前の『かぎもとや』のざるそばで満足なのだが‥‥」という一文を発見し、南木佳士が勤務した「町立軽井沢病院」は「国民健康保険・軽井沢病院」だったのだろう、と考えています。


446. 佐久総合病院 再び(9/12) お部屋番・いんぜる  2004/09/20 (月) 23:57

◇ 佐久総合病院 再び(9/12)
  http://www.nakash.jp/opera/kikoui04/08karuizawa/05saku.htm

 浅間山に雲がかかっているので小諸で時間をつぶしていたら、3時前に突然山頂から雲が消え、噴煙が見えてきました。
 そこで当初の予定通り、小海線で佐久総合病院に向かいました。

 佐久総合病院を訪れるのは、昨年の10月に続いて2回目です。
 あのときは浅間山も八ヶ岳も、山頂が曇って見えず、今回の再挑戦となったわけです。
 南木佳士の作品では病院から見える浅間山と八ヶ岳の美しさが何度も繰り返し書かれていますので、どうしても病院からの山の姿を確認したかったわけです。

 エッセイ集『ふいに吹く風』の「小説」という作品には「勤務先の病院の六、七階に昇ると、南側の病室からは八ヶ岳、北側の窓からは浅間山が見える。周囲に高いビルなどないので、屋上に出ると、この雄大な自然を一望に出来る」と書かれています。
 そこで本に書かれているように屋上に出て、浅間山と八ヶ岳の姿を確認しようと思ったのですが、なんと!屋上への階段は立ち入り禁止になっていました。
 これには愕然としました。

 僕がここまで来たのは浅間山と八ヶ岳を見るためです。
 このまま帰ることなど出来ません。
 どうしたらよいのでしょう? ‥‥以下略 (^_^ゞ

 浅間山に関しては、千曲川に架かる橋からもその姿を望むことが出来ました。
 精神を病んだ南木佳士は、リハビリも兼ね、病院の裏を流れる千曲川で釣りをしているそうです。
 浅間山の山頂から噴煙が上がっていて、この翌日には再噴火のニュースが流れました。

 八ヶ岳に関しては、やはり高いところに上らないと、町の中からは見晴らしが悪いようです。
 この日の八ヶ岳は曇って見にくかったのですが、下の写真のように、右の蓼科から左の八ヶ岳まで、つながって見えていました。


447. 名フィル《蝶々夫人》(9/20) の1 お部屋番・いんぜる  2004/09/22 (水) 00:25

    名古屋フィルハーモニー第306回定期演奏会
      音楽の万国博シリーズ《蝶々夫人》
   2004年9月20日4PM 愛知芸術劇場大ホール

     指 揮:沼尻 竜典(ぬまじりりゅうすけ)
     管弦楽:名古屋フィルハーモニー管弦楽団

       蝶々さん:大岩 千穂
     ピンカートン:ミヒャル・レッホツキー
     シャープレス:直野 資(なおのたすく)
        ゴロー:高橋 淳(たかはしじゅん)

 演奏会形式となっていますが、実際はオケの前で暗譜で演技をするオペラスタイルでした。
 ただし、服装はタキシードとイブニングドレスという演奏会スタイル。
 スポットを当てたり暗くしたり明るくしたり、照明で変化を付けていましたが、演出家の名前は書かれていませんでした。
 合唱は右の後ろに固まっていて、演技をすることはありません。

 大道具は上手に屏風。小道具は一切なし。
 蝶々さんが短刀で自殺しようとするところに子供が飛び出してくる場面など、短刀がないとおかしいんですが、イブニングドレスに短刀を入れるのは難しいわけです。
 衣装くらいは場面に合ったものを着た方がいいのではないか、とは思いました。


448. 名フィル《蝶々夫人》(9/20) の2 お部屋番・いんぜる  2004/09/22 (水) 00:26

 沼尻さんの指揮は本当に素晴らしいもので、カルロス・クライバーの《ラ・ボエーム》を彷彿とさせました。
 このオペラのすべてを理解し、そこまでオケを引っ張っていく力量を持っている。
 近い将来に世界で活躍する人だとは思いますが、名フィルとの共同作業が長く続くことを願わずにはいられません。

 沼尻さんの指揮に応えた名フィルも良かった。
 コンサートマスターの後藤龍伸さんはジェスチャーも大きく、音楽的な動きでオケを引っ張っていました。

 蝶々さんの大岩千穂さんは芯の通った素晴らしい声で、美人だしスタイルもいいし、大変気に入りました。
 ただ劇場最後列の僕としては、演技では蝶々さんの喜びや悲しみを、もっと身体を使って表現してほしかったという思いもあります。
 表情だけでは最後列では分かりにくいから。
 とはいえ、僕は蝶々さんの愚かさに笑ってしまうことも多いんですが、大岩さんの真に迫った歌唱には、何度も泣かされました。

 ピンカートンのレッホツキーはスロヴァキアのテノールですが、いいピンカートンだと思いました。

 直野さんのシャープレスは突っ立ったままで歌う場面が多かった。
 シャープレスと蝶々さんとの二重唱は、かつてジュゼッペ・タッデイで見たことがあり、心から蝶々さんを思いやるその演技にいたく感心したことがあります。
 そういう経験があると、つい較べてしまい、点数も辛くなるわけです。

 演技で素晴らしかったのがゴローの高橋さん。
 他の人が歌っているところでも自由に動き回り、いかにも幇間らしい動きで、オペラらしさが出ていました。
 今回の演技は各人に任されているのでしょうか?

 衣装のことや演技をしない合唱のこともあり、オペラを観たと言うのには抵抗もありますが、希有な音楽体験をさせていただいたことは間違いありません。

 忘れられない場面を挙げれば、1)一幕最後の二重唱からフィナーレにかけての盛り上がり(美しさの極み)、2)軍艦アブラハム・リンカーン号の入港を見て蝶々さんが愛の勝利を歌い上げる場面(本当に気の毒)、3)自決を覚悟した蝶々さんが心配するスズキを下がらせる場面のティンパニーの連打(戦慄しました)。

 いずれにせよ、これだけの素晴らしい公演を名古屋限定で終わらせてしまうとは、あまりにももったいないことです。
 カーテンコールでは、特に沼尻さん、大岩さん、そして名フィルに熱狂的な拍手が送られていました。


449. 津屋川・彼岸花(04/18・20・23) お部屋番・いんぜる  2004/09/26 (日) 01:12

◇津屋川・彼岸花(04/18・20・23)

 岐阜県海津郡南濃町にある津屋川が彼岸花の名所だと聞いて、9月18日(土)の午後に出かけました。
 http://www.nakash.jp/opera/kikoui04/09tsuya/01tsuya.htm

 名古屋高速四谷インターから乗って、東名阪道の桑名東インター下車。
 そこから大垣方面(北)へ向かうこと30分くらい。
 トータルで我が家から1時間ちょっとで津屋川に到着しました。
 そこは彼岸花と津屋川と養老山脈のすべてが揃った、実に美しい景色で、すっかり気に入ってしまいました。

 しかし残念なことに、18日は雨模様で養老山脈が見えず、名古屋では晴れた20日(月・休)に再挑戦。
 しかし養老山脈に近づくに連れ曇り空になって、山を撮すことは出来ませんでした。

 写真クラブ員としては、どうしても晴れた養老山脈も入った写真が撮りたい。
 ということで、23日(木・休)に再々挑戦しました。
 何せ我が家から1時間ですから。

 この日は養老山脈もきれいに見えていましたが、残念なことに彼岸花は盛りを過ぎていました。
 花の命は短いものです。

 しかしながら、運の良いことに、この日は写真撮影会をしているグループがおりまして、船頭さんが何度も投げ網をしてくれるんです。
 花と川と山と投げ網が入った写真が今年一番の収穫だったでしょうか。
 川に映った投げ網がポイントかと気に入っています。

 
 
ホームページに戻る  1−50  51−100  101−150  151−200  201−250
251−300  301−350  351−400  401−450  451−500  501−550
551−600